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国際バカロレア(IB)教育について

2023年8月13日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回の「モンテッソーリ・メソッド」の記事の中では、Google創業者セルゲイ・ブリンの次の言葉によってモンテッソーリ教育の本質が表されていました。

「モンテッソーリ教育では生徒に自由が与えられ、自分のペースで学び、何かを発見することが奨励されている。私が自分の好きなことを追求できているのは、この教育の賜物だ。」

この言葉を聞いて思い出したのは、以前の「主体的に英語で英語を学ぶの実践」という記事にて紹介した「ネイティブ・マインド」によるおすすめ教材として MIT K-12 Videosを取り上げた際に私が指摘した以下の内容でした。

「この内容をまとめていて気付かされたことがあります。それは、うちの娘の中学はIB(国際バカロレア)の認定校になっているのですが、そこで出される課題がまさに上記で書かれた内容そのものだったという事実です。その学校では英語に限らずあらゆる教科においてそのような形をとっているので、娘は常に課題に追われており、一緒に考えてくれと言われることが多くあるのですが、その度にひしひしと感じられるのは、とにかく『学びは主体的であるべきだ』という課題出題側のメッセージです。」

「モンテッソーリ教育」は教材自体の選択すら学ぶ側に任せている時点で異次元の「主体性」ではありますが、「ネイティブ・マインド」も「IB」も指定されたものに「主体的に取り組む」という意味では一律に宿題を課される日本の教育に比べたら圧倒的に主体性を重視していると言えます。

私自身、このような気づきを得ていたのにもかかわらず、また何度か娘と一緒に取り組んだ経験もありながらも、この「国際バカロレア(IB)教育」について体系的に知る努力を怠っていました。

そこでこれを機に国際バカロレア(IB)教育について書かれた「IB教育がやってくる!」という本を読んでみることにました。

以下に、本書より「国際バカロレア」の概要を引用します。

「1960年代からヨーロッパを中心に始まった教育プログラムです。その教育課程は、3~12歳を対象としたプライマリーイヤーズプログラム(PYP)、11~16歳を対象としたミドルイヤーズプログラム(MYP)、そして16~19歳を対象としたディプロマプログラム(DP)の三段階。このディプロマ(資格)を無事取得すれば、ヨーロッパに限らずアメリカを含めた世界中の大学の入学試験の受験資格を得られます。つまり、日本でいうところの『高卒認定試験』の世界版。そもそもIBプログラムは英語・スペイン語・フランス語のいずれかで行われることが規定されていたため、日本の学校がIBを取り入れるための障壁となっており、当初は日本国内の大学に入学するのが困難な帰国子女に向けてインターナショナルスクールなどが導入するにとどまっていました。ですが、2013年に文部科学省と国際バカロレア機構 (IBO) との合意により、日本語でのディプロマ受験が可能となりました(それはつまり、日本語での教授が可能となったということ)。同年、文科省は2018年までにIB認定校を200校に増やすとの目標を発表し、それ以降認定校増加に拍車がかかるようになりました。文科省の発表では、2023年3月14日時点で認定校等数は、207校で当初の目的を達成したとしています。(しかし、これは三つのプログラムの累計で校数としては重複しており、純粋な校数としては124校にとどまる)以下に、IBの理念とも言うべき10の学習者像を挙げます。

(1)探求する人

(2)知識のある人

(3)考える人

(4)コミュニケーションできる人

(5)信念を持つ人

(6)心を開く人

(7)思いやりのある人

(8)挑戦する人

(9)バランスの取れた人

(10)振り返りができる人

いずれの項目も特別なことではなく、日本の教育でも掲げられているような目標です。文科省が言う『生きる力』というのも突き詰めればこれと同じものかもしれません。ただし、私が思うに、IBが一番初めに掲げている『探求する人』、ここにこそIBの真髄があるように思うのです。学ぶために最も必要なこと、それは探求心であると。」

この説明で最も重要なのは、この文章の最後で著者が言っている「いずれの項目も特別なことではなく、日本の教育でも掲げられているような目標です。文科省が言う『生きる力』というのも突き詰めればこれと同じものかもしれません。」という部分だと思います。

文科省がこれと同じような「生きる力を育む」と言っているのに対して、「ああ確かに」と思う日本人はほぼ皆無でしょう。誰もがそれを「建前」としか思わず、このような言葉に共感して心が動かされたり、それによってそれが得られると期待するなどということは決してないと思います。

もちろん、IBであっても、(5)信念を持つ人、や(7)思いやりのある人などに関しては、同じように「建前」に過ぎないとは思います。これらは人間の心の奥底に働きかけなければならないものなので、「仕組み」によって育てられるほど簡単なものではないはずだからです。

しかし、私が娘の課題に付き合った経験からすると、それら以外の項目は、程度の差はあれど、日本の詰め込み教育に比べれば「仕組み」として圧倒的に差をつけられるものだと感じています。

少なくとも、IBはこれから求められる「創造的な人材」を育てるためには絶対に無視できない教育の一つだと思います。

 

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