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大学入試英語の難問化傾向について

2023年8月20日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

本日(2023年8月20日)のヤフートップニュースに取り上げられていた朝日新聞のウェブに「大学入試の英語、30年で激変、止まらぬ難問化」という記事がありました。

以下記事を要約します。

「近年の大学入試英語は難化し、問題のクオリティーも変容しています。まず注目したいのは、リーディング問題の長文化です。一定時間内に処理しなければならない英単語数が飛躍的に増加しました。例えば、1989年の共通1次試験(当時)では、100分の筆記試験で総単語数は2728語、1分あたり27.3語を読んで解答すればよかったのに対し、2023年の大学入学共通テストでは、80分のリーディングで総単語数は6014語、1分あたり75.2語の処理スピードが求められています。リスニング問題の難化も顕著で、よりナチュラルスピードに近い英語を聞き取る能力が問われるようになっています。問題の分量も増加傾向にあり、リスニングの出題文に含まれる単語の難度も上がっています。その最たる例は東京大学の2次試験で、大学入試のリスニングの形式としてはこれが限界ではないか、と思うくらいに難しくなっています。また、英作文問題も難化しています。以前は、日本語の文を英語に訳す『和文英訳』が多く見られましたが、最近では、与えられたテーマについて自分の意見を論理的に書く自由英作文が出題されています。例えば、慶應義塾大学経済学部の入試では、『漁業産業への助成』や『芸術への助成』の是非など、経済学部で学ぶ科目に関連する読解問題を解いた後、その内容を引用しつつ自分の意見を論述するという高度な英作文が出題されています。つまり、学術論文の書き方の基礎を押さえておく必要があるといえます。」

この記事を読んでまず感じたことは、この変化はよい変化だというポジティブな感情でした。

というのも、30年前と現在とでは日本人に求められる英語力のレベルが全く異なるわけで、その変化に伴って、大学側が求められている能力に合わせて難化させるのは当然の成り行きだと思うからです。

記事には、1分あたりに読まなければならない単語数が30年間で約2.8倍に増えたとありますが、実際に社会に求められる英語レベルの一般水準もそれくらい高まっているように私も感じます。

また、インターネットの普及のおかげで良質な音源へ無料でいくらでもアクセス可能になったことや、デジタル・紙に関わらず質の高い教材が豊富になったこともあり、少なくともトップレベルの大学を目指す学習者にはそのくらいの変化に対応できるだけの環境も整っているように思えます。

ただその一方で、この難化傾向がとめどもなく続いてしまうと、早い段階で入試対策に専念できる都会の中高一貫校と、あくまでも国で定められた内容に準拠せざるを得ない地方の公立学校との間の有利不利の差が激しくなってしまうことに対するネガティブな感情も共存しています。

というのも、記事の中にある慶應義塾大学の問題のように本来大学で学ぶべき「学術論文の書き方」などが求められるようになることは明らかに行き過ぎで不公平だと思います。

このことに関連して、ヤフーコメントに以下のようなコメント(英語ではなく数学の問題に関するコメントですが)を発見しました。

「最近『京大の数学が易化した』と言われてるらしいが、その教員いわく『問題を難しくして選抜するのは誰でもできる。逆に、簡単だが実力差が確実につく問題をつくるのが最も難しい。京大はやはりすごい』とのこと。 徒に難しくするのは首都圏の中高一貫男子校(女子校)や予備校を利するだけで、大多数の受験生にとって易少なしだと思うのだが。」

少なくとも、すでにグローバル社会に組み込まれてしまった日本の大学受験英語としては、基本的に「難問化」することは仕方ないかもしれませんが、それでも受験産業の恩恵を受けられない「優秀な」受験者を取りこぼしてしまわないための「簡単だが実力差が確実につく問題」を作成する努力も継続してほしいと思います。

何事もバランスが大事です。

 

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