学校現場におけるDXの混乱
2022年10月9日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
学校現場におけるDXの進捗については先日(2022年8月28日)、「セルフレジと教科書の意外な関係」という記事で紹介した日経新聞の記事にもあるように「一般的」には(私はそうは思っていないという内容でしたが)、「デジタル化が本格化しそうで良かった良かった」というメディアの論調が目立っているという世情を確認しました。
しかし、それからまだ一か月程度しかたっていない中で、学校現場におけるDXが大きな問題に直面しているという以下の記事が、昨日(2022年10月8日)の読売新聞に掲載されました。
「学校で学習用デジタル端末が小中学生に1人1台配布されて1年以上たち、端末の故障が相次いでいる。端末を落とすなどの事故が目立ち、修理費が年間数百万円に上る自治体もある。都内の公立小学校で6年を担任する女性教諭は『机に空きスペースがなく、よく端末が机から落ちる』という。そんな中、端末事故をカバーする保険も登場した。保険料は1台年1100円程度が主流で多くはPTAなど保護者負担だ。また、そもそも一般に端末は5年程度で更新が必要だが、1人1台配布された学習用端末の更新費用を誰が負担するか、文部科学省は方針を明らかにしていない。国の端末整備だけで約3000億円かかっており、更新費は数千億円程度に上るともされる。文科省の担当者は『まだ何も決まっていない』としている。」
この記事を見て非常に残念に思ったのは、この問題が学校のDXの進め方が前回の記事で書いた「DXにおける最も愚かな対応は、デジタル化対応後も従来のアナログ方式を並走させること」という指摘に当てはまってしまっていることからくるという事実でした。
なぜなら、記事中の小学校の先生の「机に空きスペースがなく、よく端末が机から落ちる」という発言は、「デジタル化対応後も従来のアナログ方式を並走させること」によって生じた弊害がまさに顕在化していることだと思うからです。
また、そのことから生じる損害の補償に関する問題についても全く想定されておらず、民間の努力によって発生した「保険」を活用している学校が存在しつつも、その保険料を保護者が自主的に負担するなど制度の決定者である政府の対応がそこにないことは大きな問題だと思います。
そして極めつけは端末機器の「更新」にかかる費用についてです。
文科省の担当者が「(更新費の負担に関しては)まだ何も決まっていない」と発言しているなど、あまりの無責任さに唖然としてしまいました。
では、この学校のDXの事業は「制度」でさえないということでしょうか。
いや、すでにこのブログにてご紹介した「GIGAスクール構想」は当初2023年度から開始予定であったものがコロナウィルスのまん延による学校教育のリモートかの要請から急遽計画を大幅に前倒ししたものであるわけですが、そうではあっても政府がやると決めたからにはそれは明らかに「制度」であり、上記のような無責任な対応は決して許されないものだと思います。
これが「教育」という国家の最重要課題であればこそ、なおさらのことです。