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経済参謀

2022年7月27日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

少し前に、「政界が人材不足となる理由」という記事で、政治の世界では、「政策」をいくら訴えても全く響かず、一般的な「知名度」と「話題性」のみが当否を左右するという現実を確認しました。

1995年の東京都知事選挙において、当時世界最高の経営コンサルタントであった大前研一氏が自らの収入とプライベートを犠牲にしながらも東京都のためにという完全なるボランティア精神をもって出馬したにもかからず、全く評価されず敗北し、それ以降彼が政治に関わることはありませんでした。

ただ、それでも彼は、国家の没落が目の前に迫っている中でも終始「泥縄式」の対策しかできず、ずるずるとそこに向かっている日本を放っておくわけにはいかないとして、「著作」という形で今まで何度も具体的な提言を行ってきており、そのいくつかをこのブログで取り上げてきました。

今回ご紹介するのはその最新の著作である「経済参謀」です。

著者は、本書を今まで日本を「持続可能な国」にするために提案・提言し続けてきたことの集大成でもあり「最後の処方箋」と位置付けています。

この中で著者は、日本を「持続可能な国」にするためにどうしても避けて通れない課題として、

①少子化対策 

日本人が子供を「多産」できる環境の整備だけではなく、正面から「移民」を受け入れる覚悟を持った政策の実行

②教育改革 

すでに世の中に存在する知識(義務教育で覚える知識を全てメモリ―チップに入れたとするとたった5円分のデータ量に過ぎない)を効率的に吸収する教育から、誰も存在に気づいていない答えを見つけていく、あるいはいまだ存在していない答えを考え出していけるような教育への転換

③国民国家問題

もはや日本という国全体が繫栄するということはあり得ないとの認識の下、「メガリージョン(大都市とその周辺都市で構成される新しい経済活動単位)」の視点で国境を飛び越えて経済を再興させる視点の重視

の三つを挙げてそれぞれ詳細に提言をしています。

それらの提言を読んで驚かされるのは、それらには「新しい資本主義」や「成長と分配」などといったどのようにも言い訳のできる言葉とは明らかに一線を画す、忖度のまったくない原因となる「課題」に直接作用することが期待できる論理が添えられていることです。

現在の政治にはなくて著者の提言にはある説得力の源泉が何かがよく分かる一節を本書から引用します。

「なぜこれほど無意味な政策が政府から連発されるのか?経営の視点がないからだ。ようするに『日本株式会社』には経営者も人事部長もいないのである。厚労省に労働者をケアする『介護室』のような部署があるだけなのだ。しかし、このままでは熾烈な人材獲得競争を繰り広げている世界に伍していくことはできない。質と量の両面から改革を断行しなければならないのである。」

つまり、キーワードは「責任」です。

政治になくて企業経営にあるものは、「お金」という目に見える形のある結果に対する「責任」です。

この「責任」からくるプレッシャーこそが、分厚い既得権益の壁を壊して改革を断行するモチベーションとなるということでしょう。

1995年に著者が東京都知事選挙に出馬したのは、まさに政治の世界にこの「責任」を自ら持ち込もうとしたということに他ならないわけです。

それをこともあろうか、供託金が没収される程の大差で著者を拒否してしまった当時の東京都民の決断をどうしても恨まないわけにはいきません。

 

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