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新経済連盟(新経連)とは

2022年7月20日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

日本には経済団体と呼ばれるものがいくつかあり、とりわけ大きい「経団連(日本経済団体連合会)」「日商(日本商工会議所)」「経済同友会」の三つの団体を経済三団体と呼びます。

「経団連」は大企業を中心に構成され政財界に大きな影響力を持つ団体、日商は各地の商工会議所を会員として地域の商工業者の利益を代表する団体、経済同友会は企業経営者が個人として参加し、経済社会の諸問題について自由な発言を行う団体です。

この経済三団体の中でも最も影響力の大きいのが「経団連」で、もともと日本の経済政策に対して財界から提言及び発言することを目的として結成された(旧)経団連と、労働問題を大企業経営者の立場から議論・提言する目的で結成された日経連という二つの組織が存在していましたが、加盟企業のほとんどが両者で重複しており、なおかつ労使間の対立の収束とともに日経連は役割を終えつつあるとの理由から2002年に統合されることになり、現在およそ1650の日本を代表する企業・団体で構成されています。

この「経団連」から2011年、三木谷浩社長率いる楽天が脱退を宣言し、翌2012年、「新経済連盟(新経連)」を発足させました。会員企業としては楽天のほかサイバーエージェントライフネット生命保険などのインターネット関連の新興企業を中心にスタートするも、インターネットがあらゆる産業に入り込むに従い、例えばサントリーホールディングスなど既存の大企業も参画するようになり、今や会員企業数は525社(2019年4月1日現在)となっています。

楽天が「経団連」を脱退した理由は、三木谷氏ら若手起業家の経済政策に関する考え方と経団連の執行部の考え方の衝突であったと言われています。

前置きが長くなりましたが、ここまでが、三木谷氏率いる「新経済連盟」ができるまでのざっくりとした流れとなりますが、正直申し上げてこの組織について今まで、その存在を知るくらいでその詳細についてはほとんど知りませんでした。

前回までの成毛氏による「未来予測」関連でもう一冊「日本の未来戦略」という本を手に取り、本書が「新経連」によって発刊されていたことから興味を持った次第です。

本書は、2012年に設立された新経連の10周年の節目に、この団体の存在意義を世の中に対して示すために、一般向け書籍という形で刊行されたものです。

つまり、本書を読めばその詳細が分かってしまうわけで、この団体を知るためには最も適した題材ということになります。

本書によれば、新経連の役割は「民でできることは民がやるべきだ」という基本的な考えを政府に理解させ、経済の発展のスピードをあげることで、すでについてしまった他の先進国からの遅れを縮めるフェーズに早く入ることを実現することだとされています。

もっと直接的に言えば、政府をして、経済のことには口を出させず、民間に対して「全く新しいことへ挑戦していいんだよ」と言わしめること。

経団連の役割が、あくまでも「政府が主導」する経済政策に対する財界からの提言及び発言力の確保であることからすると、その発想自体が全く異なります。

日本がいつまでたっても「全く新しいことへ挑戦していい」という精神からほど遠い社会であり続ける元凶について、新経連幹事でfreee創業者佐々木大輔氏は次のような興味深い指摘をしています。

「僕が元凶だと思っているのが日本の『部活』文化です。これは基本的に一度入ったら3年間続けるものという前提で成り立っていますが、これに何の意味があるのかなと。欧米では部活動自体がなく、時期ごとに興味のある活動を選んで楽しむのが一般的です。つまり、『続ける義務』はなく、途中でやめる選択も自由。こっちの方が個人の興味関心を満たすうえで合理的だし、『その時々で最適な選択をする力』を養う練習にもなると思うのです。『今まで続けてきたことをやめて、新しいことを始める』というアクションをポジティブに受け入れられるようにするためには、まずは部活制度の改革から始めるとよいのではないでしょうか。」

なるほど、10年前に三木谷浩社長率いる楽天が経団連の脱退を宣言するというセンセーショナルな行動には実はこのような意味があったのだと図らずも気づかされました。

 

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