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9割の社会問題はビジネスで解決できる

2021年12月1日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

このブログの最近のテーマとして「武器としての資本論」、「人新世の資本論」など「資本主義の限界とその次の形」について取り上げていますが、その中で見つけた「9割の社会問題はビジネスで解決できる」という一冊を読みました。

著者の田口一成氏は、1980年生まれ。早稲田大学を卒業後、ミスミを経て25歳でソーシャルビジネスのみを行う会社であるボーダレス・ジャパンを創業し、現在従業員約1500人で世界15か国で40のソーシャルビジネスを展開している方です。

著者のすごいところは、この会社を「社会問題の解決」に特化した「ソーシャルビジネス」しか扱わないと決めているところです。

考えてみれば、全ての企業は社会の需要を満たすことを目的として生まれるわけであって、本質的に何かしらの社会問題を解決するためにこの世に生まれてきているはずです。

例えば、私も「10年やっても日本人の英語は使えるようにならない」という社会問題を解決するために、「国内留学」というビジネスをやろうと思いました。

しかし、「資本主義の限界」、「その次に来る経済の形」が取りざたされるようになっていることからも分かる通り、世の中の普通の企業はいつの間にかその存在の目的である「社会問題の解決」を忘れ、「資本の本質」すなわち「自己増殖する運動」に飲み込まれてしまうことで、その存在自体が「社会問題化」するという皮肉なことになってしまっているように思えます。

もちろん、私も事業を継続していく上で「資本の本質」に飲み込まれそうになることは多々ありますが、できる限りそうならないように努力しています。

ただ、著者は、私の努力とは次元の違う難易度の高い努力をしなければならないハードルを自らのビジネスに課しているということが分かりました。

それは、「誰一人として取り残さない社会を作る」ためにビジネスをするというルールです。

これこそが著者の会社が営む「ソーシャルビジネス」の一番大事な部分です。

私も「国内留学」という社会問題の解決を目指してビジネスをしているわけですが、その顧客は皆様のようなこのサービスを潜在的に購入することができる人々である(そもそもマーケットニーズが存在している)という資本主義の常識の中でビジネスをしています。

一方で、著者が営むソーシャルビジネスは、その社会問題を解消することに対して、十分なお金を払うことができない人たちを対象とする(マーケットニーズが存在しない)ため、今までの企業経営を前提とすると放置されている社会問題を扱うという足かせを自らに課しています。

ここが、著者の「ソーシャルビジネス」が私を含む普通の企業経営者たちのビジネスと大きく異なる部分です。

しかも、この「ソーシャルビジネス」というコンセプト自体は、すでにこのブログでご紹介したバングラディッシュの社会起業家でノーベル平和賞を受賞したユヌス氏の「グラミン銀行」など世界には既に存在していますが、著者はこのような「ソーシャルビジネス」を対象分野を限定せず大量に作り続ける仕組みを作ることに成功したという点で、その功績はユヌス氏よりも大きいと言えるかもしれません。

そうなると、その足かせを課されハードルが高くなったビジネスの起業を大量にそして継続して行うことは、ソーシャルビジネスに通常のビジネスにはない特有の「強み」がなければ決して実現できないはずです。

そのソーシャルビジネス特有の「強み」について以下のように説明しています。

「あらゆるビジネスの起業後は全く目が出ない時期がしばらく続きます。起業家の心はくじけそうになります。そこで諦めてしまうか、それでも粘り強く続けられるか、そこが分かれ道です。だからこそ、自分の儲けのためのビジネスでは、儲からないならやめるとなります。起業の成功確率が低い原因はここにあります。一方、この社会問題を何としても解決するんだ、という志で始めたものは、どんなに苦しい局面でもなんとか続けようとする。それがソーシャルビジネス特有の強さです。」

また一人すごい同世代人を見つけてしまいました。