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戦後史の中の英語と私 #89

2014年12月8日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

戦後史

 

 

 

 

 

 

 

 

【書籍名】 戦後史の中の英語と私

【著者】  鳥飼玖美子

【出版社】 みすず書房

【価格】  ¥2800 + 税

【購入】    こちら

この書籍紹介ブログにおいて何冊もご紹介させていただいた、私が最も尊敬する英語教育学者(元日本を代表する同時通訳者)である鳥飼玖美子先生がこれまでの人生を振り返って、仕事、多彩な活動についてその舞台裏について語るというかなりマニアックな本です。

ですから、英語本という性格を有しながらも、もはや英語本を超えた人生訓本ともいえるような内容になっています。私のように、先生のことを尊敬し、その著作について熟知している者であれば、非常に興味深く読み始めることができると思いますが、そうでない方にとっては、その読み始めるきっかけが難しいだろうと思います。

とはいえ、さすが鳥飼先生で読み始めから決して読者を退屈させない内容になっています。自らの英語との出会いなど興味深いエピソードなど、今までの著作の中では語られていなかったものも散見されます。

英語教育の最前線で精力的に発言をされている鳥飼先生ですが、自伝的エッセイを出されるという歳になられているわけです。そんな先生の本書における記述で最も印象に残ったのは「英語」に関してのことではなく「時間」に関してのものでした。

90歳になられた先生の知人で各方面から尊敬を集めている大人物のエピソードとして以下の内容を挙げられています。

「自分は日記をつけているので、70歳の時に何を書いたかを読み直してみた。すると『これまでの自分の人生は何だったのか、これからどう生きたらよいのか』ということが書かれていた。ところが、90歳になって何を思うかというとまるで同じことだ。ただ、90歳になっての一日は、以前よりも大切に感じられる。ところが時間は残酷だ、どんどん過ぎてしまう。しかし、過去を考えてもやり直しがきくわけではない、未来を考えても意味がない。つまりは、『今』を生きることなんだなあ、というのが卒寿の結論であった。」

そろそろ、70歳になろうとされる鳥飼先生が最前線で精力的に活躍される理由が良く分かる気がしました。そして、最後を以下のような言葉で締めくくられています。

「単に過去を振り返るのではなく、過去を踏まえて『今』を生きる。そうすれば、未来への道は開かれていく。それが、自らに与えられた『生』に対し答えることになるのではないか。私はそう信じて明日も歩んでいく。」

私としても、先生の約半分しか人生を歩んでいませんが、そのような理解の上で仕事に向き合い、そして、人生を歩んでいこうと思います。

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