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未来の年表

2024年4月14日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回の川勝平太氏の静岡県知事辞職に関する「学者と政治家」という記事の中で、

「同じ人間に対する評価が、10年という時へ経て全く正反対のものとなってしまっており、その評価のぶれ方に私自身驚きを通り越して、もはや恥ずかしくなってしまうほどです。」

という感想を書きましたが、時間の流れの速さとその流れの方向性の予測の難しさは年を重ねれば重ねるほど加速度的に大きくなっていくのを実感しています。

その「予測の難しさ」を理解しつつも、何かしらの指針を得たいと思うのは人間の弱いところで、その中でも識者はどのようにとらえているのかを知るべく、「未来の年表」なる本を読んでしまいました。(笑)

著者は、日本の人口減少は単なる人口そのものの減少にとどまらず、消費活動が活発な若年層の割合の急減を伴うものなので、実人数が減る以上にマーケットの縮小が起こる「ダブルの縮小」を前提として未来予測をしなければならないと指摘した上で、これからの企業経営者がとるべき道は「戦略的に縮む」ことだとしています。

「戦略的に縮む」とは、「売上重視」から「利益重視」のビジネスモデルへの転換、すなわち成長分野を見定め、集中的に投資や人材投入を行うことです。

そのためには、そのような「成長分野」は何なのかを知ることが何よりも必要で、著者は、本書をその必要に応えるための未来の可視化作業の「成果発表」とそれを前提に戦略的縮小を実行するための「取扱説明書」に位置付けています。

本書の出版は、2022年の12月で、ほんの1年程前ということになりますが、それでも「ちょっと古いかな」と思ってしまうくらいに情報の賞味期限が短くなっているのを感じてしまいますが、それでも具体的なところまで踏み込んでいるのでかなり刺激的でした。

特に興味深いのは、著者が「少子化対策」をもはや現実的ではないと判断して、完全に縮小を前提に考えているということ。

そして、人口動態がそう簡単に変化するものではないこと、および外国人労働者の世界的な需要の高まりから考えるとそれが正しいと理解せざるを得なくなることです。

以下、本書においてあげられている具体例を一つ要約引用します。

「『新築信仰』が強いとされる日本では、人口減少によって空き家問題が深刻化しているというのに新築のマンションや一戸建ての建設が続いている。『住宅市場に関しては、人口減少と歩調を合わせて需要が減っていくわけではない』との見方がある。人口が減少しても世帯数は増えていることが根拠だ。だが、世帯数を押し上げている要因を分析すると必ずしもそうとは言い切れないことが分かる。なぜならその増加の多くは住宅を新規に取得するとはいいがたい高齢者だからである。それなのに新築住宅需要が目減りしない理由は、相続税対策需要だ。不動産を取引する際の時価より相続税がかかる基準となる価額が低いことから、相続税の負担を減らす目的での不動産の購入の高まりだ。しかも、これが昨今の都心マンションの価格の異常な高騰の一因ともなっている。(中略)住宅ローンを組む最大の契機が結婚と言われるが、今後ますます晩婚化が進んでいくので、ローンを組むタイミングが先送りされ、返済可能期間が短くならざるを得ず、新築をするまでの余裕がなくなり、『空き家の購入+そのリフォーム』が現実的な選択肢となっていくはず。その結果、新築の需要は大きく減っていくはずだ。そのため建築事業者は、新築ではなくリフォーム市場に目を向ける必要があり、今後は築年数だけでなく、立地や建物の性能、地域コミュニティの有無といった総合的な視点をもって住宅の価値を提供するビジネスモデルへの転換が求められる。」

「中古の嫌いな日本人」については、だいぶ前になりますが私もこのブログで指摘したことがあります。

「売上重視」から「利益重視」への転換は、当時の記事に書いたように「『モノ』に対する哲学の問題」でもあると思います。

 

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