日本人と英語

theのない最上級の訳し方

2021年11月1日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「『英語が読める』の9割は誤読」からテーマをいただいて書いていきたいと思いますが、第一回目のテーマは「最上級」についてです。

中学文法の「比較」に関して、最上級の作り方として「the 一音節の形容詞もしくは副詞+est 」、もしくは「the most 二音節以上の形容詞もしくは副詞」というルールを学びます。

私は、自身が主宰する「文法講座」においては次のように説明をしています。

「なぜここでthe がつくのかというと『~の中で一番だと言うからには、自分の頭の中と相手の頭の中におけるその形容詞もしくは副詞の程度のイメージをすでに共有しているか、もしくは相手のその程度のイメージを(最上の程度に)強制する」必要があるから」

ところが、世の中には「最上級」でありながらtheがつかないものが少なからず存在しています。

本書には、この「最上級」におけるthe のあるなしについての非常に分かりやすい解説がありましたので、以下引用します。

Kate was prettiest at the night of the party.(ケイトはそのパーティーの夜、いつにもまして美しかった。)

「これのよくある誤訳は『そのパーティーの夜、いちばん美しいのはケイトだった。』です。しかし、その意味にするにはprettiestの前にtheが必要です。形容詞の最上級には、『同一物や同一人の性質や状態を比べる場合、theをつけない』というルールがあります。もう少し分かりやすい例を挙げると、」

This lake is the deepest around here.とThis lake is deepest around here.

「この二つの英文で、上は『この湖は、このあたりで一番深い』、つまりほかのいくつかの湖と比べてこの湖が一番深いと言っています。一方、the がない下の文は、同じ湖の中の一番深い場所の話をしているので『このあたりが一番深い』。訳文は一文字違うだけですが、意味が全く異なります。『同一物や同一人の性質や状態を比べる』というのはそういう意味です。」

へ~、単なる省略ではなかったんですね。

非常によく分かりました。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆