ひろゆきと考える竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?
2022年7月30日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
以前に、元マイクロソフト社長の成毛眞氏と2ちゃんねる開設者のひろゆき氏の対談をまとめた「考えて生きる」という本をご紹介しました。
対談の中では、一方が論破王として有名なひろゆき氏ということもあって、結構意見が合わないテーマが目立ち、何度もハラハラさせられる場面がありましたが、本書のメインテーマである「自分の頭できちんと考える方法」については見事に二人の意見が合っており、その点が非常に興味深いものでした。
とはいえ、もともと私は、以前にも「1%の努力」という本をこのブログにてご紹介しており、ひろゆき氏の論理性の高さは十分理解しておりました。
その中で、次のような彼のスタンスを明確に示す一説を引用しています。
「世の中、みんな本音を言わない。『言ってはいけない』という空気が支配している。そんな中で本音をズバッという人がいたらどうだろう。一気にポジションをとれる。もちろん、好き嫌いで言うのではなく、根拠を示したり、改善策を一緒に考えたりはする。そして、後になってこちらが間違っていたら、その時は謝る。そのリスクさえ取れれば、いつだって思ったことを言えるはずだ。」
その意味では、この成毛氏との対談は彼の論理性を明らかにするという意味ではその通りなのですが、今一つ「言ってはいけない」という支配的な空気を打破して本音を相手にぶつけるという部分で言えば、少し控えめだったかなとも感じました。
今回は、その部分についても、思いっきりリスクを取った対談を本にまとめた「ひろゆきと考える竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?」をご紹介します。
本書は、日経テレ東大学のyoutubeチャンネルである「RE:HACK」の次の動画をもとに作られているのですがそのリスクの取り方が冒頭1:50くらいのところで炸裂しています。(笑)
ですが、やはりひろゆき氏は、あの竹中平蔵氏をしてその能力を認めさせ、最終的には次期参議院選への出馬を打診されるという展開となっています。
ただこのことは、ひろゆき氏のすばらしさはもちろんのことですが、そのひろゆき氏にあまりのポリティカリーインコレクトな直球を投げつけられたにも関わらず、最後まで議論を続ける竹中平蔵氏のすばらしさを証明することでもあると思います。
大学者である竹中氏がなぜ、ひろゆき氏のみならず世の中の激しい攻撃を受けながらも世の中を前に進ませるために提言を続けているのかについて、本書の中でノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマン氏の以下の言葉を引用して答えていたのが印象的でした。
「クルーグマンは『庭師と植物学者は違う』と言うんです。庭師というのは良い庭を造るのが目的です。しかしそのためには植物学の知識が絶対に必要です。この気候にこの植物は合うのか、この土壌でこの植物はちゃんと育つのか、とか。一方で、優れた植物学者が優れた庭師になれるという保証があるわけではない。つまり庭師というのは、現実の施策を立案・実行する人間です。植物学者というのは、法律学者や経済学者のこと。庭師である官僚や政治家が、植物学の知識を無視して勝手に庭を造ってしまう。他方で、植物学者は実際の庭のことは何も考えないで植物学の研究をし続けている。本当はその庭師と植物学者の『間』が一番重要なんですよね。その間を埋めることが重要であると彼は言い続けてきました。」
日本において、もっともっと庭師と植物学者の間での議論を進んで「間」を埋める政治が行われるようになるためには、この二人のような議論に国民が耳を傾けることが重要だと思います。