危機を好機に変える力とは
2024年5月5日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
前回に引き続き、田坂広志氏の「ゼロポイントフィールド」シリーズの第三弾として「危機を好機に変える力とは」をご紹介します。
前回の「運気を磨く」では、運気を引き寄せるには「無意識」をデフォルトで「ポジティブ」設定にすることが重要であるが、人間の「心の双極性」、すなわち、電気のプラスマイナスと同様、私たちの心はポジティブの想念を思い浮かべても必ずそれとは正反対のネガティブ想念が生じてしまうという性質によって、表面意識と無意識の世界においてポジティブ想念を強く抱くという試みはほとんど失敗に終わるので、それを克服するためには、表面意識と無意識の世界にあるネガティブ想念を「消す」ことを試みる必要があるとして、その具体的な方法としての「瞑想」について学びました。
ただ、その「瞑想」という技法は非常に難しく、そう簡単には成功できるものではないということも明らかにされていたのですが、本書では、その「瞑想」以外の方法論として、表面意識と無意識の世界にあるネガティブ想念を「消す」方法としての「絶対肯定の想念を持つ」という技法を紹介しています。
「絶対肯定の想念を持つ」こととは、人間の「心の双極性」が機能しない状態を維持するということなのですが、その状態を難なく体現しているのが、「子供」です。
子供は、「僕は宇宙飛行士になる!」と思ったとしても、大人とは異なり、同じ分量で無意識で「できなかったらどうしよう」という不安が生まれることはなく、純粋に「僕は宇宙飛行士になる!」というポジティブな想念だけを抱き続けることができるのです。
ただ、だからと言って大人に対して子供になれというのは無理な話です。
なぜなら、子供は次第に「分別」を学んで大人になっていかなければ、最終的に社会を安定的に回すことができなくなってしまうからです。
しかし、世の中を見回してみると大人の中にも「魅力的なビジョンや目標を無邪気に語り、夢や志を語りながらそれを実現していく」そんな経営者やリーダーを見つけることができます。
彼らは子供のように常にポジティブな想念だけを抱き続けているのではなく、「冷静で戦略的な人格」と「無邪気な子供のような人格」の両方を持ち、それらを場面や状況に応じて使い分けることができます。
つまり、「多重人格」を必要に応じてマネージすることができるのです。
このような芸当ができる大人はもちろんたくさんは存在しません。
その多くは、「戦争」や「大病」そして「投獄」などの死生観を定めるような稀有な経験をしたことによって「絶対肯定の想念」を体得するに至ったはずだからです。
ですから、これも「瞑想」と同じく、いや、「戦争」や「大病」そして「投獄」などは自ら進んでそのような経験をするということができない以上、それ以上に難しいことです。
本書ではその三つのうちのいずれも経験せずに「絶対肯定の想念」を体得した人として、二人の名前を挙げています。
一人は紀野一義氏という仏教者で、彼は若き日に自ら「明日死ぬ」と自分に言い聞かせて、「されば今日という一日を精いっぱい生き切ろう」と覚悟を定めて生きるという修行を続けたそうです。
そしてもう一人は、あまりにも有名ではありますが、アップルの創業者スティーブジョブズです。
彼は17歳の時に「毎日を人生最後の人のように生きなさい」という言葉に出会って以来、毎日鏡の中の自分を見つめながら「もし今日が人生最後の日なら、今日やろうとしていることを本当にやりたいだろうか?」と自問し続けたと言います。
その生き方こそが、彼の中から素晴らしい「直観力」「洞察力」「想像力」「創造力」を引き出したというのは、彼の業績から容易に想像できます。
ただ、彼の場合、「多重人格」のマネージが上手にできていたかと言えばそうでもなさそうということが、その多くの犠牲者によって語られているところではありますが。(笑)