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静岡ってなんか最近変じゃない?

2023年10月20日 CATEGORY - 代表ブログ

(川勝平太 静岡県知事・左と日詰一幸 静岡大学学長・右)

皆さん、こんにちは。

タイトルの通り、静岡県人はもちろん、そうでなくても「静岡ってなんか最近変じゃない?」と思っている人は少なくないと思います。

そう思わせる原因となっているであろう人物が二人います。

一人目は、リニアの工事の中断問題を作り出した静岡県知事 川勝平太氏です。

以下、簡単にその概要を説明します。

「東京・品川~名古屋間285kmのリニア中央新幹線のうち、静岡工区はわずか9kmでこの部分の工事着工を静岡県知事が認めないため、2027年の開業予定が絶望的となっている。そのすべてが、地下深くの南アルプストンネルだが、トンネルの上にある大井川の水量や、工事に伴う残土の置き場、そして自然環境への影響など、さまざまな『課題』が未解決だというのが、川勝知事の言い分。」

リニア工事に関する川勝知事の主張は、「決めたことを、わき目も振らず邁進して、場合によっては前に崖があるのも知らず突き進み、崖下に落ちるようなことにならないように」とたとえ、「いま、ボールはJR東海の丹羽社長にある」と発言し、静岡県の環境を真剣に考えたうえでの決断で静岡県には何ら問題はなく、問題はそのような工事をしようとするJRにあるというものです。

しかし、そもそもこの工事は、2014年に当時の太田昭宏国土交通相がJRが申請した工事実施計画を認可し、2027年の開業を目指して正式に動き出している総事業費5兆円のプロジェクトなのです。

ですので、この問題の本質は環境保護云々ではなく、2014年時点でも静岡県知事であった川勝平太氏が、そのタイミングでは何ら反対の意思を示さなかったのにもかかわらず、10年近くたちその他の工区ですでに着工されている2020年の段階になって「静岡工区での着工は認められません」と当時のJR東海の社長に通達し、着工を阻んでいることにあります。

もし、本当に環境問題のことを真剣に考えての決断であるならば、当然プロジェクト全体にストップをかけることを前提に2014年の着工前のタイミングでそうするべきですし、今このタイミングで静岡だけストップしたところで、全体をどうすることもできず、大きな損失と開業の大幅な遅れという負担が全国民にのしかかるだけです。

これが一つ目の「静岡ってなにか最近変じゃない?」です。

二人目は、静岡大学と浜松医科大学の統合問題の渦中にいる静岡大学の学長 日詰一幸氏です。

以下、簡単に概要を説明します。

「2019年の時点で静岡大学と浜松医大が法人として統合し、静大静岡キャンパスの部分を1大学、浜松医大と静大浜松キャンパスを合わせて1大学とする『1法人に2大学案』で当時学長だった静岡大の石井潔氏と浜松医科大の今野弘之氏の間で合意がなされていた。それを静岡大学において2021年に統合慎重派だった日詰氏が学長となり、統合を無期限延期とする決定をした。その後、2023年7月に当初の合意内容とは異なる『1法人1大学(2校)案』を浜松医大側に打診したが拒否された。しかし、10月4日の静大内の会議で総合大学としての位置づけを重視し、『1法人1大学(2校)案』でなおかつ本部を浜松においてもかまわないという条件も出しつつ、改めて浜松医大に正式に提案する考えを説明し、受け入れられなかったらすべてを『白紙撤回の覚悟』と主張した。そのことに反発した静大浜松キャンパスの学部長らが10月16日に非公式に(大学としての会見ではないと断ったうえで)会見を開き、日詰学長の方針に懸念を示し、当初の『1法人に2大学案』を実現するよう訴えた。その後、18日、静岡大学は浜松キャンパスで開かれた教育研究評議会で「1大学2校案」をまとめた。25日の役員会で正式に決め、浜松医大に対して提案する。」

非常に分かりにくい流れなのですが、この流れをその意味合いを考えながら整理すると次のようになりそうです。

今後の大学運営の効率化を考えれば法人を一つにする必要があるが、大学はそれぞれ全国の学生が魅力的だと思うようなとがったものにする必要があるとのことで、ちょうどどちらも浜松市内にある静大浜松キャンパス(工学部)と浜松医大を大学として一つにすることで医工に特化した大学を作り、静岡キャンパスは今の現状のままとすれば、とがった大学づくりとスムーズな大学運営が両立できるという目論見のもと、2019年の時点で「1法人に2大学案」ができたと考えられます。

しかし、静岡側からすれば、これでは浜松側はうれしいけど、静岡側は残り物だけじゃないか、というのが正直なところで、日詰学長は何とか静岡側だけが置いてけぼりのような状況になることを避けるために、「総合大学」の意義を強調し、本部を浜松においてもよいとの考えを示すなど必死に2019年度合意案の変更を模索しているようです。

つまりこの問題は、静大内部で浜松医大とくっつきたい浜松キャンパスと単なる縮小に追い込まれる静岡キャンパスとの間でのバトルというのが本質であって、静岡大学VS浜松医大という構図はあたらないということだったと思います。

しかし、ここへ来て静岡大学内のバトルは一応集結し、すでに両者間で合意済みの「1法人に2大学案」をあくまでも主張する浜松医大と新たにまとめた「1法人1大学(2校)案」の静岡大学との間での正式な戦いという構図が出来上がったとみるべきでしょうか。

実際に、浜松医大側は10月16日の時点で、「合意した案が優れている。合意の通りの再編統合を求める。」と発言しています。

この一連の流れを確認して、私はこの静大の日詰学長の主張に対して、川勝知事のリニア問題ほどではないにしても、違和感を感じざるを得ませんでした。

いや、この日詰学長の判断はすでに合意済み事項を覆すものであるということだけでなく、浜松側の主張の合理性を鑑みれば、あまりにも我田引水が過ぎるものであり、その違和感は倍増されます。

しかも人文社会学部を有する国立大学の学長という立場を考えれば、アカデミズムに対する冒とくともとられ、不快感すら感じてしまいました。

これが二つ目の「静岡ってなにか最近変じゃない?」です。

静岡県民は「話の分からない」県民なのではないかと全国民に思われているようで恥ずかしい気持ちになります。