歴史は繰り返す
2020年8月17日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2020年8月13日)、「人気ゲーム『フォートナイト』の開発元、米エピックゲームズがスマートフォンのアプリ配信・課金システムが独占に当たるとして米アップルと米グーグルを提訴した。」というニュースがありました。
ここまでに至る流れは以下のようなものです。
「アップルのアップストア、グーグルのグーグルプレイといった圧倒的なシェアを誇るアプリ配信サービスによって規模が小さなアプリ開発企業でも自社の製品を世界で提供できるようになった。一方でその手数料は30%と高く一定の成功を収めたアプリ制作会社にとっては不満が高まっていた。以前にもスウェーデンの音楽配信大手、スポティファイが欧州委員会に苦情を申し立てるといった動きがあったが、米国でアプリ開発大手が提訴するのは今回が初めてとみられる。なぜなら、手数料に不満を抱きつつも、目をつけられると審査が通らなくなり、3割の手数料どころか売り上げがすべて無くなる可能性があるからだ。」
そんな中で、アップルやグーグルのサービスなしでもなんとかできるような力をつけてきたのが、フォートナイトの開発元、米エピックゲームズです。
「そこでエピックは2020年8月13日、アップルとグーグルのアプリ内課金システムを回避する『エピック・ダイレクト・ペイメント』の提供を始めた。プレーヤーは従来よりも安くキャラクターの見た目を変えることなどが可能になるが、両社はこうした取り組みが規約に反するとしてフォートナイトの配信を停止した。」
エピックはアップルとグーグルの配信停止に対抗するため、今回の提訴に至ったというわけです。
アップルやグーグルは当該プラットフォームを作るまでに大変なコストと労力をかけています。
そして、これらのプラットフォームを利用して、エピックを含めアプリ制作者たちは自らのサービスを世の中に出すことに成功しています。
ですから、アップルやグーグルが、自分たちのおかげで世の中に出ることができたのに、人気になったから自分たちでやりますという彼らの行為に対して「都合がいい」と判断し、今回の配信停止に至ったことに対して理解はできます。
ですが、一方で一旦プラットフォーム(土地)ができてしまえば、アプリ制作者はずっと「小作人」として「地主」に対して高額な年貢を納め続けなければならず、自らの土地を確保することができないということでは、それもまた正義ではないとの彼らの主張もまたよく理解できます。
これは、芸能人の芸能プロダクションからの「独立問題」と同じような関係にあると思われます。
ですから、この独立問題の歴史の長さを見れは、その利益対立に関する法律的な線引きは非常に難しいことがよくわかります。
なのにもかかわらず敢えてエピックの視点から今回このニュースを取り上げたのは、この問題の「地主側」の当事者がアップルとグーグルという特別な二社だからです。
グーグルは創業当初から「邪悪になるな」という企業理念を掲げていることから、今回のプラットフォーム問題は、法律論にかかわらず彼らの理念に抵触しないのかどうなのかという点が気になります。
そして、極めつけはアップルについて。
つまりは、彼らが今の地位を築くことに成功したきっかけ、すなわち彼らの存在理由を自ら否定しかねない行為ではないかという観点です。
というのも、コンピューター業界でアップルが今の地位を確立する大きなきっかけとなった「伝説のCM」があるのですが、今回、それをフォートナイト側が全くそのままその主体をひっくり返した以下のようなパロディー動画を公開しました。
これを見たアップル側はどう感じたのでしょうか。
この対比を見てしまうと、アップルとしても「歴史は繰り返す」としか言えないのではないでしょうか。