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君子豹変す

2017年7月26日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

「君子豹変す」という言葉があります。

最近では、「ころころと態度を変える。」という悪い意味で使われがちな言葉ですが、実は違うようです。

本来の意味は、「豹の毛が季節に合わせて抜け変わり美しい斑文となることから、君子は時代の変化に合わせて自分を素早く的確に変えていくものだ。」というものらしいです。

このことを地で行く人が日本の経済界にいらっしゃいます。

永守重信日本電産社長その人です。

彼は、ゼロから企業を立ち上げて、巨大企業にまで育て上げたソフトバンクの社長とともに日本を代表する起業家です。

少し前に「人を動かす人になれ!」「情熱・熱意・執念の経営」と二冊続けて著書を読ませていただいておりますが、その中には、「誰よりも長く働く」ことを誇りとし、そのことを組織の強みとして自社の社員にも求めてきたとはっきり書かれています。

ところが、先日の日経電子版に「日本電産の永守社長 残業ゼロを目指す真意」という記事がでていました。

ポイントのところを引用します。

「2000年代に入ると、海外企業の買収を積極的に行うようになり、「海外の働き方」にじかに触れる機会が増えました。欧米のオフィスでは、17時になると誰もいなくなる。ドイツ企業も残業をしない。北欧はさらに進んでいるという。夏は1カ月くらい平気で休む。これでどう稼ぐのかと思いましたが、利益はしっかりと出している。調べると、従業員1人当たりの労働生産性で北欧諸国は上位にあり、日本は20位そこそこ。「日本電産が1兆円企業になったら、働き方を劇的に変えよう」と決めたきっかけは、世界の働き方を目の当たりにしたからです。2010年のことでした。つまり、「そうしなければ世界で勝てない」。そう確信したからです。10兆円企業を目指していますが、欧米並みの生産性を実現しなければ、それは夢で終わる。売り上げ1兆円を達成したのは2015年3月期でしたが、それから約1年間かけて残業をどう減らしていけるか、試行する期間を設けました。」

前述の著書二冊を読んだ後でこのインタビューを見るとまさに「君子豹変す」という言葉そのものと感じられます。

ですが、永守社長は決して従来の自分の考え方が間違っていたとはおっしゃっていません。

そうではなくて、人間の成長と一緒で、企業の成長における段階的な変身だとおっしゃっているのだと思います。

具体的には、

「私の言うことが180度変わったので、「では、過去の永守さんのやり方は間違っていたということですか」と聞いてくる人がいますが、間違っているはずがありません。極めて正しくやってきたからこそ、1兆円企業になれたのです。1兆円企業になり、10兆円企業を目指すからこその大改革なのです。もし私が明日、ゼロから会社を立ち上げたとすれば、また1日16時間働くでしょう。ですから、誤解のないように強調しておきます。私が今始めようとしている「働き方改革」は、一定規模以上の企業だからできることです。同じことを町工場がやれば、確実に潰れます。企業の成長過程には、時間で稼がなければいけないステージと、生産性を高めて稼ぐステージが明確に分かれる。私はそう思っています。」

「ガンバリズム」のけん引役として象徴的な役割を担われてきた永守社長の「残業ゼロ」の取り組みというタイトルには非常に大きな違和感をもって記事を読み始めましたが、そこはやはり永守社長です、ぐうも出ないような納得いく回答でした。

兎にも角にも、日本電産という「ガンバリズム」の塊のようなイメージを持った会社による「残業ゼロ」の取り組みは、「上司がいるから帰れない」だから「仕事はないけど仕事をしているふりをする」といったあまりにも意味のない「仕事モドキ」を日本から排除するための非常に効果的な役割を果たしてくれるように思います。

 

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