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新しい大学国際化の形

2020年9月28日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日、日本の大学の国際化策として非常に斬新な手法が広島大学で試されるとの次のような記事を見つけました。

「広島大学と米アリゾナ州立大学は、2020年10月、『アリゾナ州立大学/サンダーバードグローバル経営大学院-広島大学グローバル校』を広島大学東広島キャンパス内に設置し、共同で運営することで合意した。」

今まで、海外の大学の日本分校という形では例えばテンプル大学日本校などの例はありましたが、日本の大学の中に、しかも国立大学の中に設置するというのは今まで聞いたことがありません。

(当初テンプル大学日本校は独自のキャンパスを有していましたが、2019年8月より昭和女子大学の敷地内の施設を共用しています。)

非常に斬新な手法だなと思ったのですが、記事をよく読んでみると、

「修了者にはアリゾナ州立大学の学士号が授与される。授業は前半2年間を広島大学、後半2年間をアリゾナ州立大学本校で学ぶ『2+2モデル』、もしくは、4年間を広島大学で学ぶ『4+0モデル』の2つのモデルを軸に検討している。」

という記述や

「今後、駐日米国大使館を通じて『外国大学等の日本校』を申請し、文部科学大臣告示による指定を受けることを目指す。」

という記述から、この仕組みから得られる学位はあくまでも「アリゾナ州立大学」の学位であって、広島大学の学位が得られるものではないようですし、やはりその申請内容としては「外国大学等の日本校」ということで、広島大学は土地建物や人材を融通するという立場であって、実態は上記のテンプル大学のような海外の大学の日本分校に近い形であるというように理解しました。

また、広島大学はこの目的を、

「国立大学の国際化のさらなる進展、国立大学の経営改革(財務基盤及び経営力強化)への貢献」

と述べられています。

今回の取り組みが前者の目的である「国際化」の一つのパターンとして機能し、しかもそれが海外の大学とのより密接な協力体制を築くことで成立するものであるならば、日本人としては歓迎すべきことであることには違いありません。

また、後者の目的のために国立大学が、自ら主体的に経営資源の効率利用を図ることについても、歓迎すべきことだと思います。

ただし、その上で願わくは広島大学が、単なる不動産賃貸業者としてではなく、主体的にこの新しい「国際化」の形に関与していただいて、「アリゾナ州立大学/サンダーバードグローバル経営大学院-広島大学グローバル校」だからこそ提供できる価値を創造していただきたいと思います。

 

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