日本人と英語

バイパスの「by」は何の「そば」なのか?

2022年3月1日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の前置詞使いわけ図鑑」から前置詞の「意外なイメージ」について書いていますが、第六回目のテーマは「by」イメージについてです。

以下に本書の該当部分を引用します。

「byのコアイメージは『そばに(接近)』です。『near』よりも接近した感じが強く、He lives near the lake.は湖が見えないところを暗示するのに対し、He lives by the lake. は『彼は湖が見えるところに住んでいる』という違いがあります。また、左右に焦点があるbeside(そばに)に比べて、前後・左右を含めて漠然と近いことに焦点があります。 また、手段を意味する「~で」ももともとある場所や目的に接近するというイメージによるものです。ちなみに、by bus by trainなどのように無冠詞なのは具体的なもののイメージではなく抽象的な『手段』を表すためです。」

たしかに「nearよりも接近した感じ」というところなどはこのようにしっかり明示されないと分かりにくいですが、それでもこの前置詞「by」のイメージはいままで取り上げてきた前置詞たちと比べるとそこまでの「意外さ」はありません。

今回取り上げたのは、私が小さいころからずっと気になっていた「バイパス(道路)」の意味について詳しく考える機会にしたかったからです。

というのも、今回の前置詞「by」のイメージからすると「パイパス道路」はなにかの「そば」になければおかしいのですが、冒頭の実際のバイバス写真(静岡県富士宮市)をみても分かるように、何かの「そば」どころか、ほとんどのバイパスは何もない所にドーンと通た大きめの道路といったイメージが一般的ではないでしょうか。

そこで調べてみたところ次のような説明を発見しました。

「【バイパス(by-pass)】本来は血管に閉塞部が生じたとき、手術によって人工血管や本人の静脈を用いて作る側副路や、ガスや水道の側管、補助管、電気回路の分路、側路、障害物や問題などを回避すること、という意味の単語だったが、市街地やその他の交通障害地域を避けて造られる道路を指す場合が多い。日本に限らず街道などの幹線道路は、古くから市街地の中心を通過していたが、自動車交通の増加に伴い、そこが交通上の隘路(狭くて通行の困難な道)となってきた。市街地の道路から通過交通を取り除き、通過交通のために市街地を避けて新たに道路を造ることは、市街地の環境や交通安全のために望ましいだけでなく、幹線道路自体にとっても、円滑な交通を確保する上で効果的な対策である。」

つまりは、「市街地全体」の「そば」にある道路と捉えればいいのかもしれません。

前置詞のイメージとは無関係に長年の疑問が晴れてスッキリしました。

 

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