日本人と英語

英文の複雑化のプロセス

2022年5月8日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英文法再入門」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは「シンプルなものをいかに複雑化していくのか」というプロセスについてです。

前回の記事で私は、英語教育において最も重要視すべきこととして「文型」をあげるという点で著者と私は完全に一致していますと書きました。

というのも、英語で書かれた文章ならどんな文章でも必ず5文型のいずれかに分類されるという仕組みが英語学習をあり得ないほどに「シンプル」にしてくれるという点に着目し、それをレバレッジ(テコ)として活用しようという意図が見事に共通しているからです。

しかし、多くの人はこう反論するでしょう。

「ノーベル賞を受賞するような専門的な文章や小説などにみられるあえていじわるに書かれたまどろっこしい文章はどうなるのか?」

それでも答えは必ず、「5文型のいずれかに分類される」です。

私は、自ら主宰する「文法講座」で次のように説明しています。

「ありとあらゆる文章から骨格である文型を取り出した後残ったものすべてはお肉(おまけ)です。」

つまり、まずは一番大切な骨格を完璧に理解した後、あとは大したことのないおまけとしてチャッチャと処理していけばよいというわけです。

このことを著者は次のようにもう少し体系的に説明しています。

「ところが英文は常にこの5文型という単純な形のまま存在するわけではありません。複雑化した文も見られるのです。そして複雑化すると、その分だけ文型を見抜くのが難しくなります。そのような文にも対処できるようになるためには、文が複雑になって行くプロセスを知る必要があります。文の複雑化は、次の三つの面に分けられます。

①装飾が加わる。⇒ 具体的には、修飾語・助動詞(*1)を加える。

②形が変わる。⇒ 具体的には、疑問文・受動態(*2)に変わる。

③パーツが拡大する。⇒ 具体的には、従属節:名詞節・形容詞節・副詞節、および準動詞句:不定詞・ing句・過去分詞句を伴う。」

つまり、著者は私が言う「お肉(おまけ)」は全てこの三つに集約されると言っているのです。

英語を学ぶ上で最も大切なことは、どこまで行っても5種類しかない骨格である「文型」をその構成要素を含め完璧に理解した後、それと比べて圧倒的に低い重要性レベルの「お肉(おなけ」)を骨格との関連性をしっかり意識しながら学ぶという順序です。

ここまで完璧に考え方が一致している人を見つけたのは正直初めてでした。

ただし、助動詞(*1)受動態(*2)とあるように、著者は助動詞にbe動詞や完了のhaveを含めるという考え方、またその考えを採用することによって「進行形」や「受動態」を文型だけで説明することから逃げているように思えます。

この点について、「文型」をどこまでも重視するという点では著者は私ほど一貫しているわけではないと思われるので是非、著者の真意をお伺いしてみたいものです。

 

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