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2020年米国大統領選を振り返って

2020年11月5日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

アメリカ大統領選、本当にやきもきする長丁場となってしまいました。

そのやきもきの中で思い出したのが、2000年の共和党のブッシュ氏と民主党のゴア氏の選挙戦です。

その時も、アメリカが真っ二つに割れ、暫定的には僅差でブッシュ氏とされたのですが、投票が終わってからしばらく勝者が決まりませんでした。

そこで、今回の選挙でも激戦区とされたフロリダ州での票があまりにも拮抗していたため、フロリダ州の州法に基づいて票の数え直しが行われました。

数え直しをし始めると、だんだんとブッシュ氏がもつ有利差が減り、ゴア氏がブッシュ氏の獲得数に近づいてきましたが、数え直しの期限に最終集計が間に合わず、ブッシュ氏勝利とされたのに対し、ゴア氏が納得できず訴訟に持ち込んだものです。

結局、11月7日の選挙当日から1か月以上たった2000年12月12日に連邦最高裁が判決を下し、勝者は共和党のブッシュ氏ということになり、彼は第四十三代アメリカ合衆国大統領となりました。

しかし、今回私が強調したいのは、この流れの後で敗者となったゴア氏によって述べられた敗戦の弁の素晴らしさです。

彼は、ぎりぎりの接戦を落としてしまったことに対する悔しさを滲ませながらも、自分自身、そして民主党のためではなく、アメリカ合衆国のために結果を受け入れ、勝者であるブッシュ氏に協力する意向であることを非常に格調高い英語で全アメリカ国民に向けて述べられました。

この2000年の大統領選は、文字通りどちらが勝つかによってその後のアメリカのみならず、世界が全く変わった方向に行くことが最初から分かっていた選挙でした。

というのも、敗者となったゴア氏は、環境啓蒙活動に熱心でその活動が評価されノーベル平和賞を受賞しています。当然ですが、彼が当選していたらその後のアメリカは環境保護に世界で最も積極的に取り組む国になっていたはずです。

一方で、大統領になったブッシュ氏は、もともと元テキサス州知事であったことからも石油産業はもちろんのこと軍需産業をも政治的支持基盤として持ち、その後のアメリカが一貫して先進国の中では最も環境保護に後ろ向きな国になり、9.11後はアフガニスタンへの侵攻やイラク戦争に進み、今にまで続く泥沼の対テロ戦争に入っていきました。

私は今回の大統領選の意味合いは、アメリカがブッシュ氏の作った方向性で進むのか、それともゴア氏の目指した方向性に変えるのかというこの2000年の大統領選の場面に戻ってもう一度同じ選択をすることにあるのだと思いました。

しかし、この選挙がここまでやきもきする長丁場になったのを見る限り、二つの考え方が20年の時を経てもここまで拮抗しているというのがまぎれもない今のアメリカの現実です。

以下の二つの会見がこの大統領選の混乱と分断をまさに象徴しているように思います。

このような混乱と分断の先に、前回のゴア氏のような潔さを今回の敗者が見せることができるとすれば、それは勝者よりもアメリカにとって大きな貢献になるかもしれません。

 

◆ 投票開票後のバイデン氏による勝利の確信とすべての票が数えられるべきだとの表明

 

◆ バイデン氏有利が伝えられ始めたタイミングでのトランプ氏による「*言いがかり」的表明。(ただし、複数の主要テレビ局 MSNBC/NBC/ABCはトランプ氏が虚偽情報が拡散しているとして会見の途中で中継を打ち切った。)

*郵便投票においてバイデン陣営による不正が行われたとの主張を証拠を伴わず一方的に行ったことから

 

 

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