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イノベーションへの解

2019年4月12日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

かなり前になりますが、ハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」という書籍をご紹介しました。

その中で紹介されているイノベーションのジレンマの定義は以下のようなものです。

「大企業にとって全く新しい事業や技術の魅力は過小に映るだけでなく、その事業や技術を伸ばすことが既存の事業を破壊する可能性がある。また、既存の商品が優れた特色を持つがゆえに、その特色を改良することのみに目を奪われ、顧客の別の需要に目が届かない。そのため、大企業は、新興市場への参入が遅れる傾向にある。その結果、既存の商品より劣るが新たな特色を持つ商品を売り出し始めた新興企業に、大きく後れを取ってしまうのである。このことをイノベーションのジレンマと呼ぶ。」

ということは、どんな企業も一つのことで成功し、ある程度の礎を築いてしまうとその既存の事業を守るという行為から逃れられない、すなわちイノベーションのジレンマからの脱却方法は存在しないということなのかという疑問が当然に湧いてきます。

その疑問に答えてくれるクリステンセン教授の「イノベーションへの解」を読みました。

著者は、一般的に自然科学の世界では「理論」すなわち、ある現象と現象の関係を相関関係ではなく因果関係にまで突き詰めることによって、あらゆる状況における予測可能性の体系化が当たり前のようになされるが、人文科学の一分野である経営についてはそれが当たり前ではない現状があると指摘します。

それは次のたとえ話によって鮮烈に印象付けられました。

「一般には、十分な診察をせずに薬の処方をする医者が、『だってさっきの患者はこれ飲んだらよくなったもん。』という発言をすることに対しては当たり前のように糾弾するくせに、ビジネスの世界では、企業の経営者が、どこかの優良企業の成功事例を自分の企業にそのまま当てはめようとすることは当たり前だと思われている。」

このような誰もが仕方がないとあきらめてしまうような課題に対して、「理論」を打ち立てようとする姿勢と、それをやりぬいてしまうところが、クリステンセン教授が歴史的な経営学者と言われる所以なのだと思いました。

 

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