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タイム誌の顔

2023年5月24日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2023年5月12日)に、「タイム誌 岸田首相の『日本を軍事大国に変える』記述を変更」というニュースがありました。

NHKの記事を以下に要約します。

「アメリカの雑誌『タイム』は、岸田総理大臣にインタビューした特集記事を9日、ウェブサイトで公開しましたが『日本を軍事大国に変える』とする記述をその後、変更しました。なお、外務省は『表題と中身にかい離があることを指摘したが、詳細なやりとりは差し控えたい』と述べ、タイム誌は『さまざまな理由でウェブ版のタイトルや記事は更新することがある』と説明する一方『出版される雑誌の表紙や記事は変わっていない』とコメントしています。」

◆変更前

◆変更後

この通り、実際にウェブ版の特集記事の中のタイトルは「岸田総理大臣は、平和主義だった日本を軍事大国に変える」とされていましたが、その後「岸田総理大臣は、平和主義だった日本に国際舞台でより積極的な役割を持たせようとしている」に変更されています。

このニュースに気づいてすぐ、アマゾンで紙の雑誌を購入しようとしましたが中古を含め、すべて売り切れ、そこでヤフオクでも探したのですが、出品は見つけられませんでした。

その後品切れ状態が続いていましたが、5月21日にようやくアマゾンで購入することができました。

そして、こちらの表紙にはしっかりと「JAPAN’S CHOICE : Prime Minister Fumio Kishida wants to abandan decades of pacifism – and make his country a true military power(日本の選択:岸田首相は何十年も続いた平和主義を捨て、国家を軍事大国にすることを欲している)」とウェブ版の変更前とほとんど変わらない内容で書かれているのを確認しました。

私も、英雑誌の記事を隅々まで読むという機会はそう頻繁にはないので、今回は非常に良い機会となりました。

以下に記事の概要と私の感想を書きたいと思います。

記事は冒頭、「五・一五事件や二・二六事件など流血の歴史を持つ首相官邸には幽霊が出るという噂が絶えず、神主によるお祓いをしたにもかかわらず、過去9年間にわたって主不在だったのに、岸田首相が住みだした」という政治とは無関係のオカルト的な話にかなりの字数を費やすところから始まります。

その後、ロシアのウクライナ侵攻、中国と台湾の問題、そして北朝鮮問題など、東アジアを取り巻く国際情勢がきな臭くなっているために、岸田政権が日本の防衛費の対GDP比を1%から2%に上げようとしているという内容や、タカ派で有名だった安倍首相と比較して穏やかな印象を持たれながらも、遊説中にパイプ爆弾で襲撃されても「私は政治の世界に生きており、どんなことでも起こりうる(ことを覚悟している)」という勇敢な発言で「凡庸宰相」の汚名を返上しつつあると書かれています.

また、ノーベル平和賞受賞者で広島での被爆体験を語り核兵器廃絶を訴えてきた節子サーロウ(旧姓中村)さんが「核兵器の廃絶が最優先事項だとしながら、軍事費の増強を進める岸田政権は私たちを騙している。」と岸田首相を批判したことにも触れています。

このように、昨今の国際情勢に対処するための軍事増強の傾向は確かに否定はできないものの、それをもって記事全体のタイトルを「軍事大国にすることを欲している」とするのは明らかに唐突感が否めません。

全文を読んだ感想としては、外務省が言う通り「表題と中身にかい離がある」というのが正直なところです。

また、表紙写真の表情も明らかに普段の岸田首相のおだやかさとは違って、言葉を選ばずに言えば「悪い政治家の顔」の瞬間を切り取られたようで、ここにも明らかに「かい離がある」と言わざるを得ません。

この唐突なタイトル付けといい、この表紙の顔といい、タイム誌の取り上げ方には何らかの意図を感じざるを得ませんが、ではなぜアメリカの雑誌が彼を軍国主義者に仕立てる必要があるのか、そこがよく分からずにずっと不完全燃焼が続いています。

 

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