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今の世界ができた理由

2021年9月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前ご紹介した人類の至宝と呼ばれる「銃・病原菌・鉄」よりテーマをいただいて書いていますが、第八回目の今回が最終回です。

テーマは本書の冒頭にて著者が研究対象としたニューギニアのある先住民の一人が彼に投げかけた次の疑問に対する答えです。

「あなた方白人はモノを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものと言えるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」

今まで七回にわたって本書の中からこの大テーマに派生する様々なテーマを見つけて書いてきましたので、その答えは今までの記事の中にあるということになるのですが、せっかくですので最後にシンプルにまとめてみたいと思います。

結論的に言えば、ユーラシア大陸出身のヨーロッパ人が性質的に優れていて、それ以外の大陸の出身者が劣っていたということは全くなく、単純に「偶然」の産物であるユーラシア大陸の環境が決定したに過ぎないということです。

その「偶然」とは、

 ① 人間の役に立つ大型動物の地球的規模の絶滅ラッシュを経てもユーラシア大陸には比較的多種類が生き残っていたこと。

 ② 栽培化に適するような野生植物がユーラシア大陸には比較的多かったこと。

 ③ユーラシア大陸が東西に広いのに対して、その他の大陸が南北に広いということ。

の三つです。

①と②によって、食糧生産が可能となったことによってより多くの人口を抱えることができるようになったことで階層化が生じ、食糧の確保に従事しなくてもよい「専門職」の人々を養うことができるようになったこと。

これが最大の理由であることは間違いないのですが、しかし、ユーラシア大陸が他の大陸に比べて条件はよかったとしても、食糧生産自体は他の大陸でも行われていました。

実際にアメリカ大陸のアステカ帝国やインカ帝国などはそれによって当時世界最大級の都市を維持できていました。

そこで、③なのですが、東西に広いことと南北に広いことで何が違いに影響するのかと言えば、その食糧生産の技術の伝播の容易性です。

東西に広ければ広い範囲で同じ気候条件となり、その農耕技術の広がりがスムーズに起こるのに対して、南北に広ければ気温の高低や降雨の差なども大きくなってしまうため、そのスピードは圧倒的に遅くなってしまいます。

そうすると、階層化が生じる食糧の確保に従事しなくてもよい「専門職」の数に圧倒的な差が生じてきます。その人たちが多ければ多いほど、ありとあらゆる新技術が生み出される可能性が統計学的に大きくなるわけです。

このようにして結論的に言ってしまえばまこと単純な論理なのですが、本書はその結論を導き出すために非常に多くの証拠とそれに対する深い分析を示してくれていました。

まさに人類にとっての至宝というべき一冊でした。

 

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