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危機的状況を詠む

2017年12月11日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2017年12月6日)の読売新聞に全国高等学校文藝コンクールの詩部門に静岡県の高校三年生土屋優菜さんが入選したというニュースがありました。

この記事の中で、土屋さんは「どきっとさせるような詩を書きたかった。」という受賞作の狙いを語ってらっしゃいましたが、その狙い通りに私は「どきっ」とさせられてしまいました。

その詩を以下に書き出してみます。

「えんそく えんそく バスの中 だれも なんにも しゃべらない しりとり トランプ えとせとら みんな うつむき 画面見る スマホに ほほえむ あの子見る あの子は ババ抜き つよかった あの子は あの子は トランプ使い 向こうの その子は 絵がうまく むかしは バスでも ペン握る 今は 意味なく スマホ見る あの子は あの子は 絵がうまい そういう あたしも 画面見る だって たのしい SNS もちろん むかしは ちがったよ あたしも とくいな ものがある みんな おんなじ すわりかた でもでも ほんとは 個性ひかる だってね だって あたしはね あたしはね あたしはね わたしは スマホが ある前は あたしは あたしは あたしは だ れ だ っ け ?」

どうでしょう。

誰もが明らかに感じている「危機的状況」ではあるけれども、自分を含めてどうしてもそれを回避することができない現実をとらえ、この先どうなってしまうのかという不安感が本当に上手に表現されています。

説明文や小説での表現とはまた違った、まさに「どきっ」という感情を聞くものに訴えるのに、この「詩」という手法がここまで有効なのかということをこれ以上なく感じさせられました。

特にこの問題の根深さを「そういう あたしも 画面見る だって たのしい SNS」という言葉が痛いほどついてきます。

現在小学二年生のうちの子供たちのこの問題との付き合い方について考えることの難しさを改めて突き付けられました。

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