代表ブログ

起業の天才

2023年11月19日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

現代日本における大学生以上の方であれば、「リクルート」という社名を知らない人は皆無でしょう。

リクルートという会社は、大学生の就職活動におけるインフラと言ってもよい程、なくてはならない企業になっていると聞いています。(20年以上前のことですが、私は就職活動をほとんどしませんでしたので実際にお世話になったことはないので、あくまで伝聞。)

今回は、このリクルートの創業者 江副浩正氏の人生を書いた「起業の天才」をご紹介します。

しかし、この超優良企業の創業者である「江副浩正」という名前を聞いて、マイナスイメージを持つのは私の世代くらいが最後ではないでしょうか。

本書によれば、「戦後最大の企業犯罪リクルート事件の主犯」として人々に記録された彼の名前はリクルートのウェブサイト上の社史かには存在していないのですから、それも仕方のないことかもしれません。

ただ、本書を読めば、彼の業績が「戦後最大の企業犯罪リクルート事件の主犯」というような負の側面だけで片付けられてしまうこと自体が、平成の初めから今に至る日本経済の停滞の原因になっているのではないかという理解をせずにはいられなくなります。

そして、江副浩正氏の存在がどれほど当時の、そして今につながる日本経済に必要なものであったかを明らかにすることで、日本経済を自ら停滞させてしまうようなこの日本全体の空気に対して、一石を投じるというのが本書の著者の目的にも思えます。

本書の中で最も印象的だった一節を以下に引用します。

「『広告だけの雑誌』の一体どこが革新的だったのか。一言でいえば江副の情報誌はインターネットのない時代の『紙のグーグル』だったのだ。新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど商業媒体の読者や視聴者にとって広告は一般的に『ノイズ』と思われている。読者が見たいのはニュースやドラマ、野球などであって広告ではない。一方、広告を出す企業からすれば、視聴者はすでに職や家を持っているため、広告の大部分が『無駄撃ち』なのだ。江副はこのような広告の効力に疑いを持ち始めていた。江副が考えた就活生だけを対象にした『広告だけの本』の誕生から36年後の1998年、グーグルがインターネットを使った検索連動型広告を発明した。グーグルの検索連動型広告は『仕事』『家』『車』と検索されればそれらの広告が表示される。グーグルの創業者たちはマス広告のことを『スプレー&プレイ(殺虫剤を適当にシューとして蚊が落ちますようにと祈るようなもの)』と皮肉った。自分たちのネット広告は確実に蚊を落とすと。その商品やサービスに関心のある人に確実に届くからだ。」

つまり、現在世界を席巻しているグーグルのビジネスの根幹である「情報が欲しいユーザーと情報を届けたい企業を広告モデル」(ユーザーには無料)によって結びつける」という仕組みを、それよりも36年前のまだインターネットが存在していない時代に彼はすでに発明していたということなのです。

私たち日本人は、何を守るためにこの稀有な起業家を葬ってしまったのでしょうか。

このことを真剣に考えないと日本は永遠にこの閉塞感を打破することはできないと思います。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆