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超高齢時代の処方箋

2022年9月18日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

昨日(2022年9月17日)の読売新聞夕刊の「よみうり寸評」に、ずっと前から誰もが頭では分かっているけれど、その問題を正面からとらえずにずっと先送りし続けてきた「事実」を突きつけられる指摘がありました。

以下、その指摘を引用します。

「100歳以上の高齢者が初めて9万人を超えたと、敬老の日を前に厚生労働省が発表した。100歳の双子の姉妹『きんさん、ぎんさん』が脚光を浴びた30年前の約4000人と比べれば、改めて激増ぶりが実感されよう。厚労省は先の発表の際、『地域で話題の高齢者』を紹介している。101歳の誕生日に贈られた問題集で勉強を始め、103歳で漢字検定2級を取得した男性。101歳にしてスマホデビューを果たした女性・・・<未来に目を向ければ、今の自分が一番若い>重い空気が覆う超高齢時代の後進を励ましてくれる。」

30年で4000人から9万人ですから実に23倍に増加したということです。

今回のコロナ禍で、日本は世界でも最も「高齢者の命」を守ることにコストを掛ける国の一つであるということが証明されました。

つまりそれは「高齢者の命」を大切にする国であると言い換えることができます。

しかし、この記事で指摘されるように、この日本で「超高齢化社会」は「重い空気が覆う」ものであり、それは社会問題としてしばしば「歓迎されない」ものとして捉えられます。

その証拠に、100歳以上の人口が23倍に膨れ上がる中で、現在の社会保障制度には持続可能性がないことが明確なのにも関わらず、日本社会は抜本的な対策をせずに今日まで来てしまいました。

これでは、日本は「高齢者の命」は大切にするけれども、「高齢者の生活」は大切にしないと言っているのと同じように思えます。

そんな中で、この記事の冒頭の森村誠一さんのエピソードは、社会保障制度ではなく国民の意識改革で「高齢者の生活」を大切にする方法として、現実的かつ有力なものではないかと思いました。

以下、その部分を引用します。

「作家の森村誠一さん(89)はガラスペンを愛用する。まとめて購入したのは20年以上前のこと。100歳までに使う本数を計算して注文したという。<実際に生きられるかは分からない。しかし、心構えだけはあらかじめ持っておく必要がある>そんな意識だったと著書に綴っている。時代を先取りする発想は作家ならではというべきか。」

つまり、我々は「死ぬまで働く」ということを想定して生きるべきだということです。

「定年したら働かず年金で生活する」という考えがあるから、「超高齢社会」は「重い空気が覆う」ものであり「歓迎されない」ものになってしまうわけで、「死ぬまで働く」という考えが当たり前になった社会では、明らかに「明るい空気に満ち溢れる」ものであり、あたりまえのように「歓迎される」ものになるはずです。

後は、その「高齢者が死ぬまで働く」ということをどうすれば高齢者にとっても社会全体にとっても快適にできるかを国全体で考えることが必要になってきます。

明日の敬老の日を前に、「高齢化社会」を「社会(世代間)問題」にしない、希望ある未来への可能性に気づかせてくれる良い記事だと思いました。