日本人の9割が知らない英語の常識181 #281
2022年9月11日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 日本人の9割が知らない英語の常識181
【著者】 キャサリン・A・クラフト(里中哲彦編訳)
【出版社】 ちくま新書
【価格】 ¥780 + 税
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前々回ご紹介した「英文法を哲学する#279」からテーマをいただいて書いた「『ここはどこ?』は『Where is here?』か?」の記事では、つくづく、英語と日本語の言語的距離の大きさを再認識し、外国語を学ぶ際にはそれぞれの言語の「哲学」にまで踏み込む必要があると強く感じました。
このことから、他にもこのようなテーマで書かれた本はないかと探していたところ見つけた本です。
本書はまさにこの「Where is here?」の問題意識を冒頭にもってきており、一冊丸ごと英語と日本語の言語的距離からくる「常識の不一致」を取り扱っています。
もちろん、前面に「哲学」を押し出した#279ほど、深く掘り下げられてはいませんが、181個という膨大な事例を取り上げるというアプローチによって、その分をカバーしているように思えます。
英単語を一つ一つ覚えることには「コロケーション」の問題が伴うことはよく知られています。
そして、その問題に対処するためには「英単語ピーナッツ」というような良質な単語帳が存在していることをすでにこのブログでも紹介しました。
日本語と英語の言語的距離の大きさによって生じる「常識の不一致」の事例をこれだけ多く集めた本書は、まるで「文章版ピーナッツ」のような役割を果たしてくれるように思います。
ただし、個人的な感想としては、私自身アメリカでの生活で何度も使用し、その文章の目的を達成できた上で何ら違和感を感じなかった「What is your hobby?」「Why did you know that?」なども英語圏では言わないという指摘がされており、少しばかり「重箱の隅」感を感じることはありました。
しかし、ネイティブスピーカーの立場からは、日本人が一生懸命に話している英語に多少の違和感があってもすべては指摘しないはずですから、このような厳しいフィルターによる「微かな違和感」の指摘は十分に価値のあるものと考えなおしました。
いずれにしても、改めて英語と日本語の言語的距離の大きさを認識させられることは間違いありません。