日本人と英語

「そうだ京都行こう」を英語で言うと?

2022年9月15日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「日本人の9割が知らない英語の常識181」からテーマをいただいて書いていますが、第五回目のテーマは「willとbe going to」についてです。

これについては、私が主宰する「文法講座」の「未来」に関するセッションで、この両方に「意志未来」と「単純未来」があり、それぞれに微妙な違いが存在するというところまで学習しますが、今回はその「意志未来」の部分についてを本書から学ぶことにいたします。

まず、「来月、シドニーへ行く予定です。」という日本語をどんな英語に訳すべきかを考えるにあたってはほとんどの日本人が「I will go to Sydney next month.」もしくは「I am going to Sydney next month.」のいずれかの文章を作ることになると思います。

そして、学校教育ではこの二つはほぼ「言い換えができる」という認識で済ませてしまうのが一般的だと思います。

しかし、冒頭で書いたようにこの二つには微妙な違いが存在するため、ネイティブの感覚では「言い換えができる」で済ますわけにはいかないのです。(ただ、日本人の英語話者としてはそのことを意識しすぎて会話にならないというということは避けてくださいと伝えています。)

以下、解答と解説文を引用します。

「I am going to Sydney next month.

willは話しているその時点での意志を表します。<意志の表明>つまり、そうすると決めた場合にのみ用いられるのです。ですから、I will go to Sydney next month.は『そうだ、来月、シドニーへ行こう』という意味になってしまいます。一方、be going toは『~することに確実に向かっている』わけですから、『すでに立てた予定』を述べるときにふさわしい表現と言えましょう。<近接未来の表明>willが『今決めた意志』であるのに対し、be going toは『あらかじめ決められていた予定』なのです。つまり、willとbe going toの使い分けのポイントは『いつそれを決めたのか』にあります。」

ここで二点、私としてはこの著者の解説の中で違和感がある部分を指摘したいと思います。

まずは、「willは話しているその時点での意志」という意味においての「意志未来」という記述です。

「話しているその時点での」となると、意志未来のwillの主語は全て「I」ということになってしまうように聞こえます。

しかし、You will…He willのように二人称・三人称を主語にする表現は存在するわけであって、その場合にはその主語の意志について話し手が想像して言及する表現としての「意志未来」とされています。

もともと「will」は意思という名詞からスタートしたわけでこれは自明なことです。

そしてもう一つは、<近接未来の表明>という記述についての違和感です。

というのも、予定を述べていたとしても、それはあらかじめ決めた予定に意志をもって向かっているわけですから、これ自体は私の冒頭の記述の通り「意志未来」であることは間違いありません。

その「意志」を著者の言う通り「いつそれを決めたのか」の違いだけが問題なのですから。

著者の解説の中の<近接未来>という表現は、「単純未来(~だろう)」というくくりの中の「will」と「be going to」の微妙な違いとして、「be going to」のほうが「will」よりも「近接した未来」を表現するために使用するという説明として使うべきではないかと感じたのです。

このあたりのことは以前の記事「will とbe going toの違い」をご参照ください。

著者の主張に異論をはさむようで恐縮ですが指摘させていただきました。(おそらく著者は対立軸を分かりやすくするために説明を省略しているだけではないかと思われます。)

とは言え、この「今決めた」という表現の事例として「そうだ~行こう」を選択した著者のセンスは抜群だと思います。

 

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