日本人と英語

シェイクスピアが創った英単語

2023年11月21日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の極意」からテーマをいただいて書いていきますが、第一回目のテーマは「シェイクスピアに創作された英単語」です。

基本的にどの言語も単語というのは自然発生的なものであって、それが特定の誰かによって作り出されたということが分かっていないことが普通です。

ただ、日本語では明治になって日本が西洋の技術を取り入れるために文献を日本語に翻訳する際、日本語にない概念を表す新たな日本語語彙の発明、いわゆる「造語」という作業がかなり意図的に行われました。

具体的には、economy の訳語としての「経済」という言葉は「経世済民」という中国語の古典から福澤諭吉が「造語」したということが分かっています。

また、「哲学」という言葉を造語したのは西周だということも広く知られています。

このように日本語においては、西洋の技術や考え方を一気に日本に取り入れるため、それを政策的におこなう必要があったことから、誰による造語であるかがはっきりしているケースが多いのは理解できます。

しかし、本書には英語という日本語のような例外的な事情が存在していない言語においても、非常に多くの「造語」を手掛けていた人物を紹介していました。

それがあの「シェークスピア」です。

以下に、該当部分を引用します。

「シェイクスピアは16世紀当時、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の卒業生の通常の語彙は2000から3000語と言われる中で、実に2万9千語の語彙を駆使して膨大な数の著作を残しました。そのすべてが純粋な『新語』ではないにしろ、動詞を名詞にしたり、名詞から動詞を作ったり、外国語の単語から新しい単語を作ったりと、様々な語を作りました。彼が創ったとされる単語の例としては、cold-blooded(残忍な) downstairs(階下へ) dwindle(減少する) eyeball(目玉) eyesore(見苦しいもの) inaudible(聞き取れない) laughing stock(笑いもの) majestic(堂々とした) obscene(卑猥な) radiance(輝き) soft-hearted(心優しい) tongue-tied(口ごもった)などがあります。また、フレーズとしてはflesh and blood (生身の人間)foregone conclusion (初めから分かり切っている結果)foul play(反則行為) good riddance(厄介払い) for goodness’sake!(何かに対してのイライラや怒りの表現) it is high time(もういい加減に~すべき時) lie low(時期を待つ) neither here nor there(重要でない) too much of a good thing(ありがた迷惑な) vanish into thin air(跡形もなく消える) Mum’s the word!(内緒だから誰にも言わないで)などがあります。 」

単語でいえば「majestic 堂々とした」など、まさか特定の人物が人工的に作ったなどと思えない自然なものですし、フレーズでいえば「foul play 反則行為」(foulという単語はもともと『粗野な』とか『不快な』などの意味はあったが、反則行為というフレーズとしての意味)など、現代のスポーツに欠かすことのできない重要な用語になっており、シェークスピアによる一連の「造語」が、英語の背景にある「文化」として取り上げられるべきものであることは間違いないと思います。

 

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