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神様でなくなりつつあるお客様

2021年6月6日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ビジネスにおける事業者と顧客との関係について考えさせられる記事を立て続けに読みました。

まず一つ目は、2021年6月5日の弁護士ドットコムニュースの記事です。

タイトルは「客に店員が『私、奴隷じゃない』弁当屋『カスハラ』騒動の意味」です。

以下、動画をアップし記事を要約します。

「事件の流れは次のようなものです。酔った男性2人組が来店し、会計時に商品を温めるよう求めました。この時間帯、勤務していた店員は男女1名ずつ。キッチンDIVEでは、コロナ以前はセルフの電子レンジを置いていましたが、時間帯によっては客の列ができていたため、密集を避けるために撤去していたのです。客の求めに対し、男性店員はレンジは置いていないと答えたところ、商品のキャンセルなどをめぐり、2人組が罵倒。店員側も反論したことで、2人組がヒートアップし、大声で怒鳴ったり、お金を投げつけたりする行為に及んだと言います。店側は警察に被害届を提出。示談にも応じないと公言しています。」

そして二つ目は、2021年6月6日のヤフーニュースです。

タイトルは「YouTubeプレミアムのテレビCMから考える動画広告の未来」です。

以下、動画をアップし記事を要約します。

「このテレビCMでは、ヨガをしている最中に広告がはじまってしまって困るという、YouTubeを使っている人なら誰もが感じたことのあるであろう状況を例に、YouTubeプレミアムなら広告が出ないという内容を訴求しています。無料版は広告が表示され、プレミアムなどの有料版にすれば広告が出なくなるというのは、いわゆるフリーミアムと呼ばれるビジネスモデルでは普通の話で、特に珍しい話ではありません。ただ、これまでYouTubeの広告表示のされ方に不満を持っていたユーザーからすると、このYouTubeの自らの広告モデルを自己批判するようなテレビCMは、ツッコミどころ満載。ツイッターを検索すると『YouTubeも広告邪魔だと思ってたんだ』、『楽しみを途切れさせてたのはYouTubeでは』や『広告を無くせるのを広告でアピールするのか』という趣旨の発言を多数見つけることができます。」

客の理不尽な行為を絶対に許さないお弁当屋さんと自社コンテンツの利便性の向上による新規顧客の獲得のためにはその改変に不満を持つ既存顧客の一定数の減少を堂々と許容するグーグル。

このどちらも「お客様は神様です」という日本に長らく君臨し続けた商慣行が崩れつつある中での事業者と顧客との間のコンフリクトを確信犯的に表出させたのだと思います。

ここで重要なのは、「お客様は神様です」との考え方は、今までも「商慣行」であって「法律」ではなかったという事実です。

商取引はあくまでも「売り手」と「買い手」との契約に基づくものであって、両者は全くの平等でありそもそも上下関係ではありません。

当然ですが法律はいままでもずっと、「売り手」が提供する財サービスと「買い手」が提供する対価が見合うことを両者が確認したことによって成立する契約関係を明らかにしてきました。

ただし、財サービスを提供する「売り手」はその行為を継続的に行わなければいけませんのでそれは「業」となり、「買い手」と比べてより高い「配慮」が必要になるのは今も昔も当然です。

この「配慮」を日本では長らく「お客様は神様です」とする精神だとしてきたのですが、最近はそうではなく、その本来的意味がさらなる顧客満足につなげるための「生産性の向上努力」にあるということを「売り手」と「買い手」の双方が理解し始めてきたということなのではないでしょうか。

今回立て続けに記事になった二つの事業者と顧客との間のコンフリクトはそのことを物語っているように思います。

 

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