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シン・営業力

2023年5月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

最近、優良企業の代表格として名前がよく上がる「キーエンス」という会社があります。

社員の平均年収が2000万円と言われますから、平均で上場企業の役員に匹敵する金額を稼いでしまうというすごい会社です。

私も気になって調べてみましたら、これが本当にすごいのです。以下、その概要をまとめてみます。

「兵庫県出身の滝崎武光氏が高校卒業後に外資系のプラント制御機器メーカーに就職し、独立、二度の起業と倒産を経て、1974年に29歳で創業した自動制御機器、計測機器、情報機器、光学・電子顕微鏡などの開発および製造販売を行う企業。2022年3月期の売上が連結で9200億円で純利益が3600億円、総資産が2兆3500億円、純資産が2兆2300億円。メーカーでありながら利益率40%、自己資本比率95%を誇り、時価総額はトヨタの31兆1000億円、ソニーの15兆8000億円に次ぐ日本企業第三位の15兆6000億円。ちなみにトヨタの売上は34兆6000億円、ソニーは11兆5000億円。それに対し、キーエンスは1兆円にも満たずにほぼソニーと同額という超優良企業。」

この企業の内容を見たときに、私は今までこのような超優良企業に対してほとんど知識がなかったことをとても恥ずかしく思いました。また、同時に、キーエンスが莫大な設備投資の必要なメーカーという立場でこれだけの利益を出し続けることができる理由を知りたくなりました。

そこで、この企業の出身者が書かれた二冊を即座に買い、読んでみることにしました。

今回はその一冊目、「シン・営業力」をご紹介します。

著者である天野眞也氏は、1992年に新卒1期生として入社し、売り上げ数百億円から2000億円規模に成長する期間をトップ営業として走り続けたのち独立。現在は販売支援コンサルタントとして活躍されている方です。

まず、キーエンスは上場企業ですからこれだけ圧倒的な利益を出し続けている事実を社会に公開しなければなりません。そして、そのことを当然に知りうる「顧客」が、それでも「売り手と買い手の関係」を安定的に続けている理由をどうにかして知りたいと思いました。

著者は、その理由を考える上で最も重要な視点は常に「主語がお客様」であることだと言います。

著書には次のように書かれています。

「『買ってくれたらうれしい』と思っているうちは営業の仕事を本当の意味では分かっていないのかもしれません。お客様がどのような事業をしていてこれからどうなっていきたいのか?その中で自社製品サービスがどのようにお客様に貢献できるか?を考えること。当然ですが、目標を達成するために無理やり売り込んだり、お客様にとって必要もないオプションをつけて売り上げを伸ばそうとすることはあってはなりません。」

そして、もう一つ大切な視点は、「お客様(法人)の目的は『利益を出すこと』である」のと、その前提でお客様の「買う」は「投資」であることから、「投資効果を証明すること」が何よりも重要であること。

こちらも著者の言葉を引用要約します。

「法人にとってはビジョンとしては各々いろいろあるかもしれませんが、しかし、その事業がうまくいかなければ、つまり利益が出なければそのビジョンを実現することはできません。ですから、営業としてお客様(法人)の目的は『利益を出すこと』であると認識する必要があります。つまりお客様は利益を出すための『投資』として営業から製品サービスを購入するのです。そのため、その製品サービスにかかる費用とそれを使って生み出される収益の差を具体的に金額で示し、それが現状もしくは他社の提案よりも大きいことを証明することができれば、価格競争とは無縁でいられ、予算という概念からも解放されます。(一部加筆修正)」

キーエンスという会社は、このことを徹底的して営業社員全員に叩き込むことをルーティーンとしているというわけです。

だからこそ、顧客企業側が、キーエンスの利益率が極端に高く、その社員の年収が上場企業の役員並みであることを知っていたとしても、喜んで継続取引を選択するです。

結局のところ、この企業の強みは、他社の追随を許さないレベルで「仕組みの再現性」を実現し、それを維持する能力にあるということが良くわかりました。