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バンクシーの正体

2020年6月16日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

最近、バンクシーにハマってしまい、彼について扱った雑誌を読んだり、彼が監督した「EXIT THROUGH THE GIFT SHOP」という映画を見たりしています。

バンクシーが日本で有名になったのは、2018年にイギリスのオークションハウス「サザビーズ」で1億5000万円で落札された彼の作品が、落札されたタイミングであらかじめバンクシー本人によって額縁に内蔵されていたシュレッダーによって作品が切り刻まれてしまったという事件がきっかけでした。

このように日本で有名になったのはつい最近ですが、世界的にはすでに2008年には彼の作品がニューヨークのサザビーズで2億円で落札されるなど、トップアーティストとしての地位を確立しながらも、最初に活動を始めた1990年から今に至るまで、他人の所有建造物にスプレーで描くグラフィティアーティストであり続けています。

実際にはこの活動は明らかに違法であるため、逮捕を覚悟で続けているといいます。

そのため、「アートテロリスト」とも呼ばれながらも、今現在も本名、生年月日すら明かさずに「アートの役目は人々に議論を促し、社会の問題を明らかにすることだ」という主張を貫いています。

彼の作品は、基本的にこのように他人の所有物の上で制作されるため、彼の作品がたとえ何億円という高額で取引されようとも、そのお金が彼に入ってくるわけではありません。

ですから、身体を張りながらこの活動を続けていることは、違法行為であると同時に別の見方をすれば純粋な奉仕活動であるともいえます。

その純粋さが最もよく分かる例として、イスラエルが建設したパレスチナとを隔てる「壁」での作品制作やその壁に隣接して開業した彼の作品をテーマにする「The walled off Hotel」の運営があります。

このイスラエルの「壁」については少し前の記事「感染対策と人権とグローバル化」でも触れましたが、彼はイスラエルの兵士から銃を突き付けられながらもこの分離壁が象徴するパレスチナの惨状を世界に伝えるために、「風船と少女」を書いたそうです。

「風船によって宙にいて今にも壁を越えようとする少女」ほど、この分断の象徴である「壁」に対する痛烈な批判はありえないでしょう。

その意味では、確実に彼の「アートの役目は人々に議論を促し、社会の問題を明らかにすることだ」という主張は機能していますし、本当のテロリストによる自爆テロよりも、彼の「アートテロリスト」としての主張の方がより強い影響を与えるのではないかと思えてきます。

このような彼の一貫した活動を見て、やはり政治家にしても実業家にしても、そして芸術家にしても、その魅力の源泉は「筋を通す」姿勢なのだということを改めて確認できました。

 

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