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僕は君たちに武器を配りたい

2023年1月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

世の中の評価が非常に高いビジネス本でありながら、なんとなくタイミングを逸して読まずに来てしまったという本は結構あります。

この「僕は君たちに武器を配りたい」もそんな一冊でしたが、この度ようやく読むことができました。

その結果、大変遅ればせながらではありますが、本書が数年に一度いや10年に一度出会えるかどうか分からないほど素晴らしいものであることが分かりました。

以下、著者である瀧本哲史氏のプロフィールです。

「1972年生まれ。東京大学法学部卒業と同時に大学院をスキップして東京大学大学院法学政治学研究科助手に採用される。専攻は民法。助手の任期終了後は学界に残らず、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。独立後は、企業再生やエンジェル投資家として活動しながら、京都大学で教育、研究、産官学連携活動に従事。全日本ディベート連盟代表理事、全国教室ディベート連盟常任理事なども務めるが、2019年に病気にて早逝(47歳)。」

本書の著者はもうこの世にはいらっしゃいません。

このような素晴らしい人物から講演などで実際に教えを乞う機会がもはや永遠に得られないことを心から残念に思います。

以下、本書の趣旨をまとめます。

本書のタイトルにある「武器」とは、資本主義の本質を捉えなおすことで得ることができる「投資家的視点」のことです。

そして、その「投資家的視点」とはどういうものかということを世界で最も長期にわたって投資家一族であるロスチャイルド家に伝わる次の言葉を引用することで明らかにしています。

「地面に死体が転がっているような不景気な時に投資し、まだ早すぎるという(と多くの人が思っている)タイミングで売り抜けろ」

ここでいう「早すぎるタイミング」とはどんなものかというと、資本主義の基本である市場において当該投資対象が「コモディティ化」するタイミングだといいます。

「コモディティ化」の定義は、「その商品サービスのスペックが明確に定義できるようなものと化した状態」ということになります。もう少し分かりやすく言えば、それらが「没個性化」したということです。

そうなれば必ず、その商品サービスは「際限のない(理論的には限界利益がゼロになるまで続く)価格競争」に巻き込まれることになるので、資本主義の社会で生きる私たちは、この競争に絶対に巻き込まれないように常にこのタイミングを見計らうことができる「投資家的視点」を持たなければならないのです。

コモディティ化した世界で必死に「人より努力」することを美徳としがちな私たち日本人が、ロスチャイルド家のこの教えを一見すれば、何やらいやらしさを通り越して恐ろしさも感じてしまいそうですが、上記の「資本主義の本質」をしっかりと理解した上でもう一度この言葉を見直してみると、それ以外に選択肢のないいたって常識的な考え方のようにも思えてきます。

著者の文章を読むのは本書が初めてかと思っていましたが、実はずっと前にご紹介していた「ZERO TO ONE」の序文を書かれていたのが瀧本氏だったことを今になって気づかされました。

そのブログの中でも本書の主張に関連する次のような感想を書いていました。

「皆が反対する投資(チャレンジ)をしなければ、結局はまともなリターンは得られません。なぜなら、皆が賛成する者の先には『競争』という消耗戦しかないからです。」

10年近く前にこのような理解に至っていたのに、本書で再び感動させられるということは、私の理解がいかに「理解したつもり」のレベルにとどまっていたかということを物語っているわけで、改めてこの「投資家的視点」をデフォルトの状態にする必要性を感じました。

そして最後に、著者は武器としての「投資家的視点」に武器としての「英語」を絡ませてその重要性について述べられているので、本ブログでは外せないと思い、以下に引用しておきます。

「私は本書の前段で『英語の勉強をしても幸せになれない』と述べたが、それは正確には『英語のスキル単体では売り物にはならない』という意味である。売りになるスキルや知識のない人が英語を勉強してもそれほどの価値は産まないが、技術者や起業家のような『売る物』がある人は英語ができないと非常に損をするのである。インターネットで世界がリアルタイムでつながった現在、マーケットの大きさを決めるのは国境ではなく『言語』だ。日本語だけでビジネスした場合、一億三千万人の市場しかないが、英語を話す人々の市場はその何十倍にもなる。自分のスキルと英語によるコミュニケーションを組み合わせることで自分の価値を何倍にも高めることができるのだ。」

 

 

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