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政治的リーダーの資質について

2020年9月13日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2020年9月9日)、米ホワイトハウスがトランプ大統領がイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化に尽くしたとして、ノーベル平和賞候補にノミネートされたと発表しました。

ノーベル平和賞ノミネートの理由にあたるイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化のニュースはこちらです。

「イスラエルとアラブ首長国連邦が、米国の仲介で電撃的に国交樹立を表明した。3カ国はイランをけん制する思惑で一致、特に11月の米大統領選で劣勢を強いられているトランプ大統領は外交成果のアピールに躍起だ。一方、置き去りにされた形のパレスチナは猛反発、和平はさらに遠のきそうだ。」

この記事にあるように、出来事の背後にはアメリカとイランの睨み合いがあり、この問題については以前の記事にも書きました。

と、この記事を書いている本日(2020年9月12日)、UAEに続きバーレーンも11日、イスラエルとの国交正常化合意とのニュースも入っていきました。

わずか数日のうちに、米国の仲介でアラブの2カ国が長く対立してきたイスラエルとの国交樹立を決めたことになります。

このことをもってトランプ大統領に対して「ノーベル平和賞」を与えるべきという見方は、国際政治をまともに見ている人たちからするとあまりにバカバカしくて、この賞を冒涜するものであるともとらえられるようです。

なぜなら、一見「平和的」に見えるこのニュースは、アメリカのイラン包囲網にこれらの国々を加えることを目的としているだけであって、中東問題の本質ともいえる「イスラエル・パレスチナ問題」をより一層根の深いものにしてしまうものだからです。

また、本日(2020年9月12日)の日経新聞の1面「編集手帳」にトランプ大統領の「邪(よこしま)さ」について以下のような指摘もありました。

「再選を期すトランプ大統領は、新型コロナのワクチンの緊急的接種を臨床試験の終了を待たずに実施する検討を始めたと伝えられる。それに対して、欧米の製薬業界大手9社が『安全を最優先する』との共同声明を発表した。これへのけん制と見られる。医療の安全や倫理をめぐって、監督する側と監督される側が入れ替わったかのような錯覚を覚えてしまう。」

なぜ、このトランプという人は、このような自国中心主義をどこまでも貫き通そうとするのでしょうか。

それは、11月に行われる大統領選に向けて、アメリカを世界で最もコロナ対策に失敗した国にしてしまった自らの失策を何としても挽回したいという気持ちからのようです。

このコロナ禍では、トランプ大統領に限らず多くのリーダーがそのプレッシャーにたまりかねて「民主主義」や「国際協調」に対する信頼を自ら破壊してしまうような行動をとることを私たちは目の当たりにしてきました。

それに対して、このプレッシャーを正面から受け止め、「民主主義」や「国際協調」の維持という信念を貫きながらこの危機に対峙しているリーダーもいます。

最後に、以前にご紹介した「コロナ後の世界を生きる」から「政治的リーダーの資質」について書かれた部分を引用して終わりにしたいと思います。

「対照的なのはドイツのメルケル首相だ。曰く、『私たちは民主国家です。私たちが豊かに過ごせるのは何かをしろと強制されているからではなく、私たちが知識を共有し、この営みに積極的に参加するよう促されているからです。』それゆえ、今とられている行動制限措置は『民主主義において、絶対に軽々しく行われてはならぬものであり、厳に一時的なものでなければなりません』。政治のリーダーは、とりわけ危機との戦いのさなかでは、まず国民に信頼されていなければならない。判断に科学的な根拠があり、情報を捏造したり隠ぺいしたりせず、感情に任せた見苦しい言動を完璧に封じ込め、そしてなにより、民主主義を守るためにこそ厳しい措置もあるという方針を堅持できる人物でなければならない」

最後の一文は、メルケル首相への誉め言葉としてよりも、トランプ大統領の過去四年間の行動に対する皮肉のように思えてなりません。

 

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