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日本はもはや後進国である

2019年8月28日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回の記事では、「中国を誤解する日本人」と題して、日本人の中国の国力に対する評価がもはや時代遅れの勘違いと化してしまっていることについて書きました。

今回も、「日本人の認識」に関してですが、今度は日本人の「日本に対する認識」に関する勘違いについての記事を取り上げたいと思います。

それは2019年8月27日のNEWSWEEK日本版の「日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう」という衝撃的なタイトルの記事です。

いずれにしても、日本人にとっては非常に厳しい指摘になってしまい大変恐縮です。(笑)

まずは、その記事からソフトバンク社長の孫正義氏による指摘を引用します。

「日本は『かつて豊かだった』のではなく、もともと貧しかったのだ。事実、日本の労働生産性の順位はこの50年間ほとんど変わっていない。昔から傑出した技術大国であったという自らの『勘違い』に向き合わねば、日本経済はトンネルを抜けることはできない」

一見して、自分にも社会にも厳しい孫社長の自らを奮い立たせるための少し誇張した指摘かなとも思いましたが、この記事では以下のようにデータを提示しながら、これが「誇張」ではなく「事実」であることを示しています。

まずは日本の現状について。

「日本の労働生産性は先進各国で最下位となっており、世界競争力ランキングは30位と1997年以降では最低となっている。平均賃金はOECD加盟35カ国中18位でしかなく、相対的貧困率は38カ国中27位、教育に対する公的支出のGDP比は43カ国中40位、年金の所得代替率は50カ国中41位、障害者への公的支出のGDP費は37カ国中32位、失業に対する公的支出のGDP比は34カ国中31位(いずれもOECD)など、これでもかというくらいひどい有様だ。また、日本が輸出大国であるという話も、過大評価されている面がある。2017年における世界輸出に占める日本のシェアは3.8%しかなく、1位の中国(10.6%)、2位の米国(10.2%)、3位のドイツ(7.7%)と比較するとかなり小さい。中国は今や世界の工場なので、輸出シェアが大きいのは当然かもしれないが、実は米国も輸出大国であることが分かる。驚くべきなのはドイツで、GDPの大きさが日本より2割小さいにもかかわらず、輸出の絶対量が日本の2倍以上もある。」

ただ、この現状については理解している日本人も少なくないかもしれませんが、そのような方々の中でも、かつての日本は「ジャパンアズナンバーワン」と言われたように、経済的に最強だった過去があると認識されている方が私も含めてですがほとんどでしょう。

ですが、過去の日本の状況についても。

「先ほど、日本の労働生産性は先進各国で最下位であると述べたが、実はこの順位は50年間ほとんど変わっていない。日本経済がバブル化した1980年代には、各国との生産性の差が多少縮まったものの、基本的な状況に変化はなく、ずっと前から日本の生産性は低いままだ。1人あたりのGDPが世界2位になったこともあるが、それはほんの一瞬に過ぎない。また、輸出に関してもドイツは過去40年間、輸出における世界シェアをほぼ同じ水準でキープしているが、日本はそうではない。1960年代における日本の輸出シェアはかなり低く、まだ『安かろう悪かろう』のイメージを引きずっていた。1970年代からシェアの上昇が始まり、1980年代には一時、ドイツに肉薄したものの、その後は一貫してシェアを落とし続けている。」

つまりは、日本の経済を概略すると以下のようになると指摘されています。

「日本は『昔、豊かだったが、今、貧しくなった』のではなく、日本はもともと貧しく、80年代に豊かになりかかったものの『再び貧しい時代に戻りつつある』というのが正しい認識と言ってよいだろう。」

しかしながら、私としては、そうは言っても、上記の「80年代に豊かになりかかった」という表現にもあるように、その時代には確かに日本が輝いていたはずだというポジティブな見方だってできるのではないかと思ってしまいます。

ですが、本誌ではすかさず次のように指摘されています。

「パナソニックという会社は、かつて松下電器産業という社名だったが、昭和の時代には、よく『マネシタ電器』と揶揄されていた。トヨタも今でこそ、レクサスといったブランド商品を出せるようになったが、米ゼネラル・モーターズの自動車を参考に製品の開発を続けてきたのは有名な話である。パナソニックに限らず、日本企業の多くは、欧米企業がヒット商品を出すと、すぐにそれをパクって、より安い価格の製品を出すというのが定番商法だった。そして、バブル期を経て、社会が多少、豊かになり、日本人は自らの技術力を過信し、昔から傑出した技術大国であったという錯覚を持つようになってしまった。この基本認識の違いが、現状維持のバイアスを強く発揮することになり、結果として孫氏が指摘するように『衰退産業ばかりにしがみつく』結果をもたらしている。」

前回の記事において、中国人が日本の技術をパクるという批判に対して、日本は古代から漢字をはじめ様々なものを中国からパクることで今があるという指摘をしました。

もしかしたら、それと日本企業の社員を高給でヘッドハンティングするなどして技術移転を目論む中国企業のそれとを同一視するべきではないという指摘があるかもしれません。

ただ、上記の指摘はもちろんのこと、明治時代のお雇い外国人だって、やっていることはほぼ同じではないでしょうか。

産業スパイとして法律的に罰せられるようなレベルのことを同一視してはいけませんが、それは法律的にきっちりと処理するべきことです。

先に進んだ企業に学ぶという姿勢をとることは、日本だってやっていたことですし、それを中国が後からやろうとすることをすべて非難することはあまりにも情けない姿勢に思えてしまいます。

逆に言えば、この姿勢こそが日本が今経済的に伸び悩んでいる大きな原因ではないかと思ってしまいます。

日本がこの原因を取り除き、経済の停滞を打破するためにまず必要なことは「謙虚」になることだと思います。

実はたいしたことがないのに、自分はすごいと思ってしまうこの気持ちを意図的に排除し、あくまでも他国の方が優秀な部分は、遣隋使やお雇い外国人のごとく、「学ばせていただく」という姿勢を維持し続けることです。

孫社長が常に他国に日本にはない優れた企業を探し出し、そこに思い切って投資するという姿勢を貫くことで結果を出されていることがそれを証明しているように思います。

 

 

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