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早生まれは不利か

2018年8月31日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2018年8月14日)の東洋経済オンラインに、皆がなんとなく感じていることだけど、確実なことは分からない、数ある微妙な疑問の一つに関する記事がありましたのでご紹介します。

その微妙な疑問とは、「早生まれは不利か」です。

私の誕生日は1月25日なので、私自身この微妙な疑問をうまく「言い訳」に使ってきたものです。

ですが、言い訳に使っている私自身、「早生まれ」という事実が他の同級生と比べ何かが劣っていることの原因かどうかの確信を得られているわけではありません。

そのため、この記事は私には非常に興味深く映りました。

しかも、その記事の著者を見ると、慶應大学の中室牧子先生ではないですか。

中室先生とは、かつてこのブログでも紹介した、非常に切り口が鋭い新進気鋭の学者さんです。

以下に、中室先生の記事を要約します。

「同じ学年に属していても、4月生まれと翌年3月生まれでは、生まれ月に約1年の差がある。特に学齢が小さい間は1年の差はとてつもなく大きい。体格はもちろんのこと、情緒や精神面での発達にも大きな差があることが様々な研究で明らかになっている。そのため、先進国の多くでは、入学時期を1年遅らせるという選択が可能な制度があり、アメリカでは10%程度の保護者が幼稚園や小学校の入学年齢を遅らせる選択をしている。富裕層にこうした選択をする人が多いことも知られている。この選択ができない日本のデータを分析した結果をみてみると、小学校4年生のときに生じている生まれ月の格差は、中学3年生になってもほとんど縮小していないことが分かった。なおかつ、進学、最終学歴、賃金など、人生における長期的な成果にまで影響していることを示している。しかし、この格差が長期にわたって観察される理由についてはそれほど多くのことがわかっている状況にはない。先行研究の中には、人生の初期に同級生よりもスポーツや勉強面で有利になり、そのことが自分に対する自尊心や自己効力感を高めるからというのが理由ではないか、と指摘するものはあるが、いずれも実証的な検証は今後に委ねられている。」

自分自身の感覚では、この記事にあるように「特に学齢が小さい間は1年の差はとてつもなく大きい。」ことはかなり明確に感じていました。だからこそ、「うまく言い訳に使ってきた」のです。

しかし、その格差は学年が上がるにつれて確実に縮小していったという実感があります。ですので、記事にあるように「この格差が長期にわたって観察」され、「進学、最終学歴、賃金など、人生における長期的な成果にまで影響している」という分析にはかなり違和感を感じてしまいました。

ですが、実際の統計に基づいての分析結果であり、なおかつ実際に先進国の多くで、入学年の選択を制度化していることからそれは事実なのかもしれません。

ただ、私としてはそれでも次のような思いもあります。

それは、記事においてこの長期の格差が生じる理由として、「人生の初期に同級生よりもスポーツや勉強面で有利になり、そのことが自分に対する自尊心や自己効力感を高めるから」という指摘がありましたが、しかし、その逆の効果もあるのではないかということです。

私は、長い人生においては、成功体験のみに基づく「自尊心や自己効力感」は逆にマイナスに働くこともあるのではないかと思うからです。

むしろ、努力しても報われない挫折感を味わいながら失敗を乗り越えたという成功体験というものがあってこそ、本当の「自尊心や自己効力感」が得られるのではと考えます。

しかし、あくまでもこれは「可愛い子には旅をさせろ」という諺を信じる私の個人的な思いです。

このような事実に基づく分析があるのであれば、政策的には日本においても少なくとも「選択」の自由は与えられてしかるべきではないかと思います。

 

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