英語と日本人ー挫折と希望の200年 #296
2023年3月4日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語と日本人-挫折と希望の200年
【著者】 江利川 春雄
【出版社】 ちくま新書
【価格】 ¥920 + 税
【購入】 こちら
本書の著者は、このブログではおなじみの和歌山大学名誉教授の江利川春雄先生の新刊です。
江利川先生の新刊ということですから本来であれば全くの躊躇なく読み始めるものを、なんとなく読むのを先延ばしにしてしまいました。
というのも、「英語と日本人」というタイトルが、この書籍紹介ブログでも紹介している齋藤兆史氏の「日本人と英語-もうひとつの英語百年史」や寺沢拓敬氏の「日本人と英語の社会学」にも使われ、また私の別ブログ「日本人と英語ブログ」のタイトルにもなっているくらいに使い古されたものだったため、「他の本の焼き直し」的なものではないかな?という思いがあったからかもしれません。
ただその思いも、本書の冒頭に書かれていた「日本人と英語」の関係に関する次の表現によって即座にかき消されました。
「英語と日本人の関係はとても複雑だ。好きなのか嫌いなのかはっきりしないまま、ズルズル付き合っているカップルみたいだ。」
こんな下世話な野次馬根性にも似た感情によって読み始めることになりましたが、実際の内容は「歴史」と「社会」という二つの視点からこのとても複雑な関係を丁寧に記述されている素晴らしいものでした。
それも、ここ十数年にわたって「官邸」と「経済界」という英語教育の素人によって主導され、まさに歴史と社会から切り離されて進められてきた「英語教育行政改革(改悪)」に対する反対勢力の急先鋒として活躍されてきた著者によるものだからこそだと思われます。