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リモコンの陣取り合戦

2021年5月17日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

最近の私の興味は「資本主義の限界」というテーマでものを考えることでして、このブログでもいくつも関連する記事を書いてきました。

その中で資本主義というものの本質は「あらゆるものを商品化すること」、すなわち貨幣価値に置き換え、それを増殖させることにあることから、いずれはそこに限界が来るのは必然であるという考えがあることを見てきました。

昨日(2021年5月16日)の東洋経済オンラインにまさに「あらゆるものの商品化」が行き着くところまで来たな思える記事がありましたのでご紹介します。

記事のタイトルは「リモコン激変!ボタン争奪戦が熾烈を極める理由」です。

以下にその記事を要約します。

「大手メーカー製のテレビのリモコンには今や、各局番号のボタン、dボタンなどと併せ、動画配信サービスを起動できる専用ボタンが設置されている。その専用ボタンをめぐる戦いが過熱しているのだ。テレビリモコンに専用ボタンを設置した先駆けはアメリカのネットフリックスだ。同社は2011年、北米市場で発売されたスマートテレビなどのリモコンに自社ボタンの設置を開始。もともとネットフリックスはボタン設置前から、テレビに自社サービスをあらかじめインストールする取り組みを実施していた。そのテレビを購入すれば、ユーザーはテレビアプリ一覧の中からネットフリックスを選択するだけでサービスを楽しめる。ただ、ユーザー側でイチから設定するよりは楽になるものの、それでもまだ煩わしさも残る。リモコンにボタンをつけてしまえば一発で起動でき、大幅な時短につなげられる。このようにリモコンボタン設置は動画配信サービス各社にとって、事業成長に直結する施策でもある。動画配信サービスにおけるマーケティング戦略の核ともいえる『会員獲得』と『解約抑制』に大きな効果を発揮するからだ。それらの面でリモコンボタンが重要な役割を果たすことは、動画配信サービス業界ではすでに認識されている。『手を挙げるサービスが増え、競争が激しくなっている』」

空いた土地をリースするところから不動産業ができ、雑誌や新聞の空きスペース、ラジオやテレビの空き時間を販売するところから広告業ができ、という形でありとあらゆるものを「商品化」してきた資本主義社会ですが、ついにテレビのリモコンというこんな小さなスペースさえも「商品化」の対象としてしまうとは、本当に資本主義のフロンティア探しの貪欲さには脱帽です。

ただ、同時にここまでの貪欲さを見せつけられると、やはりその限界は近いような気がしてしまいます。