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ローマ字表記「姓・名」式に

2019年5月27日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2019年5月21日)の読売新聞の夕刊に次のような記事が載っていました。

「日本人名のローマ字表記は欧米式の『名ー姓』順ではなく、日本流の『姓ー名』順にしよう。こんな構想を河野外相が提唱している。目標は、民間に広めて2020年の東京五輪・パラリンピックを機に定着させること。柴山文科相は、21日の記者会見で文化庁から近く、行政・教育機関やメディア業界などに『姓ー名』順を推奨する通知を出す方針を示した。国内外に根付いている慣習の見直しは議論を呼びそうだ。-日本英語教育史学会長の江利川和歌山大教授によると、『名ー姓』表記は明治中期の欧化主義政策によって定着し始め、英語教育を通じて国民に浸透した。ただ、文化庁は2000年12月、『姓ー名の順とすることが望ましい』とした国語審議会の答申を受け、同様の通知を出したことで、中学校の英語教科書で『姓ー名』順にする動きが広まり、2002年度に発行7社中6社、2006年度には全6社が使うようになった。日本の旅券は1992年から『姓ー名』順となっているが、一般には『名ー姓』順が定着している。」

つまり、実はこの問題については2000年12月の時点ですでに文化庁が通知済みであり、日本人が海外へ自らの姓名を表示する際のガイドラインとして示されていたということになります。

文化庁のウェブサイトからその通知を抜き出してみました。

「世界の人々の名前の形式は,「名-姓」のもの,「姓-名」のもの,「名」のみのもの,自分の「名」と親の「名」を並べて個人の名称とするものなど多様であり,それぞれが使われる社会の文化や歴史を背景として成立したものである。世界の中で,日本のほか,中国,韓国,ベトナムなどアジアの数か国と,欧米ではハンガリーで「姓-名」の形式が用いられている。
国際交流の機会の拡大に伴い,異なる国の人同士が姓名を紹介し合う機会は増大しつつあると考えられる。また,先に記したように,現在では英語が世界の共通語として情報交流を担う機能を果たしつつあり,それに伴って各国の人名を英文の中にローマ字で書き表すことが増えていくと考えられる。国語審議会としては,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,そのような際に,一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として,一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。したがって,日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えばYamada Haruo)とすることが望ましい。なお,従来の慣習に基づく誤解を防くために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。今後,官公庁や報道機関等において,日本人の姓名をローマ字で表記する場合,並びに学校教育における英語等の指導においても,以上の趣旨が生かされることを希望する。」

グローバル化と多様性の関係については、このブログで何度も議論してきました。そして、その答えが、本来の意味での「国際化」だと指摘してきました。

「グローバル化」を推し進めるためには、世界共通に利用可能な「共通語」の存在を認める必要があるが、しかしそのことを「当たり前」のこととしてしまうと、「多様性」が失われてしまう危険性が生じてしまいます。

「国際化」とは、このことを認識し、「努力」してその多様性を維持しながら、世界とのコミュニケーションをとる姿勢です。

この文化庁の通知の中には、まさにその本来の意味における「国際化」の本質が明確に記されていることから、私は今回のこの動きについてはかなり積極的に支持したいと思っています。

 

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