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「大学秋入学移行」議論再燃

2024年2月12日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2024年2月9日)、吉村大阪府知事が「大阪公立大学で2027年度から導入する方針」を発表したという日経の記事を読みました。

以下要約します。

「大阪公立大学は9日、2027年度から秋入学を導入する方針を示した。まず工学部など一部の学部や、大学院の全研究科で先行的に始める。秋入学が一般的な海外からの留学生を増やす狙いがある。大阪府の吉村洋文知事は同日、大阪市役所内で記者団に『(秋入学を将来的に)大阪公立大全体に広げるべきだ』との認識を示した。」

この「秋入学移行」の議論については、実はこのブログで、以前に二度(2012年2020年)記事を書いています。

この二つの最終的な結論については私のブログではフォローしておりませんでしたので、今回の議論の前提知識として、2012年の東京大学および2020年の政府与党にて持ち上がったこれは大学だけでなく小中高大すべての教育機関の「9月入学」の議論がこちらも最終的に見送られた経緯について説明したこちらの記事から要約引用します。

まずは、2012年の東京大学の件。

「東京大学が9月入学を検討したことにより、地方国立大学法人も、それならば、と独自に9月入学制度を検討し始めました。しかし、東京大学がいつの間にかアドバルーンを降ろしてしまい、地方国立大学法人も東京大学に右にならえになってしまった経緯があります。この9月入学の議論は、単に入学制度の改革に留まらず、我が国の教育改革全般にも通じるものでありました。したがって、せっかくの議論の機会を議論のための議論で消滅させた東京大学の頓挫は誠に残念であったと言わざるを得ません。実現しなかった東京大学の9月入学構想は、他大学の入学卒業時期、高校の入学卒業時期、企業への就職時期、企業の採用活動などの議論に一石を投じました。しかし、小学校、中学校、高等学校全体を含め、国を挙げて議論する機会にならなかったのは、最高学府の東京大学といえども力不足であったと言えるかもしれません。」

続いて、2020年の政府与党の件。

「この原稿を執筆中、5月27日の報道で『政府・与党は2021年度からの9月入学を見送る方針を固めた』と伝えられました。この報道により、9月入学構想は消滅との声もあります。しかし一方では9月入学賛成派も少なくないことから、政府・与党は将来的な9月入学導入についての議論は続けるとの情報も伝わってきています。今回のコロナ禍で浮上した9月入学の議論は、主に小学校に焦点が当てられてきましたが、当然、中学校、高等学校、大学まで関係することです。しかし、この9月入学が、いつから、どこに、どこまで導入されるかという点、また在校生の卒業時期などの議論はほとんど聞こえてきません。入学について言えば半年前倒しになるのか、卒業については半年遅れるのか、話は複雑です。しかも、就職時期のことも考慮に入れなければなりません。」

2020年時点でのこの記事では、「政府・与党は将来的な9月入学導入についての議論は続けるとの情報も伝わってきています。」とありますが、それから4年近くの時間が流れたわけですが、今までにその議論が高まったというニュースは少なくとも私は聞いたことがありませんでした。

そんな中での、今回の吉村大阪府知事の発表は唐突感がありつつも、発言主が大学でも政府でもなく、大学を運営する自治体のトップたる府知事であるということで、その突破力に期待を持てるような気もします。

ただ、この吉村知事の計画が本当に成功するかどうかは、この「秋入学」が大阪公立大学だけで実現するかどうかではなく、その実現が日本全体の変革を後押しできるかどうかにかかっているのは間違いありません。

なぜなら、2012年の東京大学の失敗はもとより、2020年の政府与党の失敗も、「大学の入学卒業時期、高校の入学卒業時期、企業への就職時期、企業の採用活動など国を挙げての議論ができなかったこと」が原因であるからです。

その意味で、吉村知事の突破力が政府与党の「秋入学導入」議論を再燃させ、大きなうねりとなることを強く期待します。

 

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