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大阪の「公立高校離れ」現象について

2024年3月31日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

昨日(2024年3月30日)の産経新聞の記事で、大阪府の私学高校無償化政策の影響によって大阪府の約半数の公立高校が定員割れを引き起こしたというニュースが取り上げられていました。

以下、記事を要約します。

「大阪府内では今年、私立高を第1志望とする専願者は31.64%となり、過去20年で初めて3割を超えた。一方、公立高志願者は現行の入試制度が始まった平成28年度以降最少となり、府内公立高の半数近い70校が定員割れとなる事態に。大阪の教育界は無償化ショックの波紋が広がっている。大阪府の授業料無償化は府内のすべての生徒が対象。家庭の収入に左右されることなく進路選択がしやすいとあって、生徒や保護者からは歓迎の声があがっている。ただ、私立人気の高まりの半面、公立は一気に不人気に。今年の公立高の一般選抜志願者数は全日制課程で3万6379人で、昨年から2375人減少した。大阪府では公立高の統廃合をめぐって条例で定められた独自のルールがあり、定員割れが3年連続で続き、改善の見込みがないと判断されると統廃合の検討対象となる。こうした私学人気の高まりについて、大阪府の吉村洋文知事は「いままで経済的な事情で私学を選択できなかったこどもたちが選択できるようになった結果」と指摘。『公立高校も切磋琢磨しながら教育の質を高めることに取り組んでもらいたい』と話している。」

さて、このニュースを「悪いニュース」ととるか、「良いニュース」ととるか、受け取り方は二つに分かれると思います。

このニュースの取り上げ方からすると、微妙ではありますが、当初大阪府が予想した以上に私学に流れてしまい問題だとする悪いニュース」論調かなとも捉えられます。

しかし、私はこれは明らかに「良いニュース」だと思いました。

というのも、公立高校と私立高校を授業料の面で同等の条件としたら、圧倒的に私立高校に軍配が上がったということであり、それはどちらが効率的に教育サービスを提供できているかが明確になったということでしょう。

それによって、定員割れを起こしてしまった公立高校が今後独自の特徴を出すなどしてサービスの向上を図るきっかけにもなるはずで、その結果私立高校との間でより厳しい競争が起きることで両者ともに発展する可能性が高まるからです。

ただそうはいっても、そのような努力ができる公立高校ばかりではないでしょう。

おそらく、定員未達の度合いが年を追うごとにひどくなり、これは大阪府としても赤字補填のための税金の無駄遣いになってしまうではないかという批判が起こることが予想されますが、この記事では大阪府がそのあたりについても次のように非常に的確な制度設計を行っていることが明らかにされています。

「大阪府では公立高の統廃合をめぐって条例で定められた独自のルールがあり、定員割れが3年連続で続き、改善の見込みがないと判断されると統廃合の検討対象となる。」

つまり、ダメなものは絶対にそのままにせずに淘汰される仕組みを導入しているということです。

それによって、「公立」という形で教育サービスを提供する意味があるのかどうなのかということ自体が問われることにもなります。

運営形態として「私立」のほうが良いのであれば、そちらに任せることで、今まで公立高校運営のために費やしていた資金を「私立」への補助のために使うことで税金投入の効率化につながるわけです。

これは、大阪府が少子高齢化の問題に対してただ手をこまねいているだけではないということが良くわかるニュースだと思います。

 

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