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忘れる読書

2023年1月15日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

時々自分のブログを見返して、それなりの数の本を読んできたなと思いながらもある事実に大きなショックを受けることがあります。

それは、その呼んだはずの本の内容を忘れてしまっているという事実です。

それも本当に「きれいさっぱり」にという本も少なくなく、自分の費やしてきた時間とその結果残っている記憶とを比べて、「読書の意味って何だろう」とむなしくなることがあります。

そんな時に、「忘れる読書」という今回ご紹介する本書のタイトルが目に飛び込んできてすぐに読むことにしました。しかもその著者は、本ブログで何度もその著書を取り上げてきた落合陽一氏です。

さすがの落合さんで、読書に向き合う上で非常に参考になる視点を様々提示してくれていましたが、今回はタイトルにあるように読書における本の内容を読後に「忘れる」ことに関する彼の視点について以下ご紹介します。

「なんでも検索可能な現代においては(読書で得た知識をすべて)記憶する必要はない。これからの時代においてクリエイティブであるための知的な技術は読後に自分の中に残った知識や考えをざっくりと頭に入れ『フックがかかった状態』にしておくことだ。本全体の10%くらいが頭に残るくらいでちょうどいい。」

それでは「読書」は何のためにするのか、内容の90%を忘れてしまうことがちょうどいいというからにはその点が実に気になるわけですが、著者は以下のように「忘れる読書」の目的を明らかにしています。

「『点と点をつなげる』という言葉があります。また、生前のスティーブ・ジョブズも『将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎ合わせることなどできない。できるのは後から繋ぎ合わせることだけだ。』と言っていますが、将来予測になってはじめからきれいな線を引こうと思ってもそれは不可能で、点は自分で打って後から線を引いていくものです。」

つまり、読書をすることの目的を知識を脳内にできるだけ多く記憶することだとするならば、それはその知識を将来に役立たせるために決め打ちするようなものということになります。

そうではなく、その時点ではそれが何の役に立つのかわからなくとも、読書によって様々な知識や考え方に触れることで私たちの脳内に「地図」を作り、将来のあるタイミングにおいてその地図上の「点と点をつなげる」ことを可能とするのだと私は理解しました。

最後に、著者の「忘れる読書」というコンセプトをサポートする目的で本書の中で紹介されていた博物学者の荒俣宏氏の言葉を記載しておきます。

<一冊の本を繰り返し読んだところで、大半は忘れているだろう>

<わからないことはそのままにする>

<0点の成績をとり続ける>

<そのことでたくわえられる「知の力」というものがあるのだ>

 

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