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予言された世界

2023年1月17日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

少し前に「忘れる読書」という落合陽一氏の著書をご紹介したばかりですが続いてもう一冊、「予言された世界」をご紹介します。

といっても本書は彼の父上である落合信彦氏との共著です。

このブログでは今まで何冊も落合陽一氏の本をご紹介してきましが、第一冊目は今から5年ほど前の「これからの世界をつくる仲間たちへ」でした。

当時のブログの中で私は、

「落合信彦氏は自らアメリカでオイルビジネスに成功された後、国際ジャーナリストへの華麗なる転身をされ『豚になるな狼になれ』的タイトルで、世の中の仕組に流されるのではなく、自分自身の頭で考えて世の中を切り開いていくことの重要性を説く様々な啓発書や小説を出版されました。私は、中学生から大学二年生でアメリカに行く時まで、彼が新刊を出版されるたびに必ず買って読みました。そもそも、アメリカ留学するという決断にも、少なからずその影響があったと思います。その落合信彦氏の息子である陽一氏は父親と全く異なった道を進まれたように見えますが、『豚になるな狼になれ』と仰っていた父上と完全に重なって見えました。」

そんな親子の初の共著の存在を知った時、時間の流れの速さとその重さをひしひしと感じながら、すぐさま手に取り読むことにしました。

本書は陽一氏のパートと信彦氏のパートが交互に入り混じりつつもその中に二人の対談のパートが挿入された構成をとっていますが、やはり私にとっては対談が圧倒的に興味深いものでした。

以下に、お二人の個性が分かりやすく出ていると思われる対談部分を要約しながらですが抜粋したいと思います。

(アメリカと世界が劣化してきているという考察においてお二人の事実認識が一致しているという前提の下で)

陽一氏:

とは言え、経済的な面からはアメリカは成長し続けているともいえるんじゃない?

信彦氏:

経済と民度は違う。経済は成長しているけれども反面、金の亡者がアメリカを支配してしまったんだ。

陽一氏:

お父さんの著書では50年間かけてアメリカは劣化してきたと書かれているけど、僕はアメリカに限らず世界の劣化は「インターネットの登場」の影響が大きいと思う。というのもインターネットの登場であらゆるものがポピュリズムに支配されるようになったと思う。大衆からのフィードバックがすぐ帰ってくるようになって、目の前の数字や人気ばかりを追うようになった。でもこれは劣化じゃなくて人類の「適応」と言えるんじゃないかな?

信彦氏:

常に「自由とは何か」「人間はどうあるべきか」を考えるような大局に立った言葉を語れる政治家はいなくなってしまった。日本の政界も劣化した。自民党にも日本を託せるリーダーはいないし、野党はもっと酷い。ローマ帝国がどのように亡んだか、一言で言えば為政者が劣化し、市民も劣化していったんだ。「パンとサーカス」つまり、ポピュリズムの蔓延だった。人類の劣化の法則はその時と変わっていない。

陽一氏:

このままいくと日本も壊れてしまうと思う。僕は、「一人の強いリーダー」というのは昔の「テレビ時代」のものだと思う。今はもっと地方分権的とでもいうか、小さなコミュニティの中で強い人がたくさん出てくることが重要視されるべきではないかな。今は過渡期だと思う。たぶんいずれはそういうリーダーが出てくるんじゃないかと思う。

この対談を読んで、私は中・高・大学生時代にむさぼるようにして読んだ信彦氏の著作によってもういても立ってもいられないくらいに受けた当時の衝撃を久しぶりに思い出しました。

それはまさにこの対談の中で信彦氏が熱く語られていたような「大局に立った言葉を語れる政治家」への強いあこがれですが、しかしながら信彦氏はこの対談において未来に対する希望を口にはしていません。

その一方で、陽一氏が対談の中で「今が過渡期」としながら冷静な現状の分析に基づく未来への希望を見出していることから私はものすごく大きな勇気をもらったような気がします。

この二人は、全く異なった道を進まれた「情熱の父親」と「冷徹な息子」でありながら、奥底では完全に重なった部分を持ちながらその時代時代にあった才能をいかんなく発揮されていることが確認で来たような気がします。

 

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