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技術革新の罠

2012年6月14日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

昨日、金融機関の勉強会であの有名なアナリスト、武者陵司氏の講演会を聞く機会を得ました。

最近では非常に珍しい、世界経済の楽観論者でした。

彼の論理はこうです。

現在、表面的にはエルピーダメモリーなどのように半導体の会社が非常に厳しい、一方でアップルのようなファブレス企業が史上空前の利益を出している。しかし、全体で見ると世界経済は悪い方に向かっていると我々は実感しています。

なぜか?それは、エルピーダメモリーなどの製造業では、人を雇用します。材料も使います。それらの企業が仕事をすることで、多くの他の企業にも仕事が回ります。ですから、その会社としては、あまり儲からないが、その活動によって、世界に富が分配されます。

しかし、アップルはどうでしょう?半導体の値段は技術革新でどんどん安くなり、機械化によって、人間を労働力として使う必要が以前に比べて圧倒的に少なくなっています。しかし、革新的な商品はとぶように売れる。したがって、アップルの企業としての利益はうなぎのぼりです。しかし、それが、ほとんど、他の企業に回らないのです。

これが、現在の世界的な不況感です。特に日本でのそれはアメリカよりも著しいかもしれません。ですから、生産設備や多くの人間をを抱えた、パナソニックやソニーの弱さが際立っているのです。

しかし、彼は、それを解決するのが、アメリカという「血も涙もない」国のやり方だといいます。

半導体などで人間が要らなくなれば、すぐに首を切る。

これは、見方によっては、究極の経営資源の効率活用だというのです。

いらない人材をいつまでも将来のないところにおいておかない、すぐに引導を渡して、別のところに行く『機会』を与えてあげる。

アメリカでは、それが行われている。人間にしかできないところに人材の再配分が行われていくことで、中期的に見れば、この構造的な問題が解決されると語られました。

つまり、世界経済をひっぱているのが日本ではなく、このような経営の効率を普通に行うことができるアメリカである以上、世界的には経済は構造改革が行われ、良い方に向くはずなのだということでした。

日本でも、パナソニックの大規模な首切りが行われるとのことですが、残念ながら、日本では、その後の行き場がない状態です。

それは、日本とアメリカの新規の起業率を差を見れば明らかです。

スカイプによって日本とフィリピンをつないで行おうとしているSEACTテストも、言ってみれば、技術革新と、労働コストの不均衡を利用して行うものです。

ですから、これだけで完結してしまえば、経済発展にプラスにはならないことをしようとしていることになるかもしれません。

しかし、日本人の英語への考え方を変えさせ、日本企業がもっと積極的に世界に打って出ることのお手伝いとして考えるのであれば、SEACTテストの発展は、日本および世界の富を創出することにつながるのではないかと思っています。

講演の内容が正しいのかどうかは別として、そのように考えることには大きな意味があると思いました。

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