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移民政策を移民大国ドイツに学ぶ

2018年10月1日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前のブログ記事で「長期就労の在留資格解禁へ」と「外国人との共生社会へ」の「移民政策」に関するテーマを取り上げました。

その中で、私個人として驚異的に進む少子高齢化に対処するためには、骨太の「移民受け入れ」政策を展開する以外にはあり得ず、問題はそれをどのようにするかだけだというかなり積極的な移民受け入れの立場を表明しています。

しかし、先日(2018年9月13日)のヤフーニュースに取り上げられていた「外国人労働者受け入れ拡大で日本に必要な覚悟とは~移民大国ドイツの経験に学ぶ」という記事を読み、この問題が思っている以上に難しい問題であるということに気づかされました。

この記事は、「週刊プレNEWS」というあの週刊プレイボーイが運営するニュースサイトなので一瞬、色眼鏡をかけながら読み始めました。

ところが、実際の内容の深さは、先日ご紹介した「夕刊フジ」の「日本人は人づきあいにコストをかける」以上で非常に示唆に富んでいました。

ドイツ出身で日本歴20年で日独バイリンガルで「多文化共生」をテーマに執筆活動をしているサンドラ・フェフリン氏に対するこのインタビュー記事を以下に要約します。

「ドイツは、第2次世界大戦で軍民合わせれば最大で900万人もの戦死者を出し、戦後に経済が復興する過程で、深刻な労働力不足に直面した。そこで1961年、当時の西ドイツ政府は主にトルコからの労働者を積極的に受け入れる政策を打ち出す。現在、約300万人が「トルコ系」。彼らの大半はこの時代にドイツにやって来た当時の移民とその子孫だ。しかし、この移民受け入れ政策は、ドイツ住民と彼らとの間の文化の摩擦と衝突が原因で1973年に中止された。この文化の摩擦と衝突の例としてあげられるのはやはり宗教に起因することが多い。トルコ系移民はイスラム教の信者であることが多いが、イスラム教では、「結婚」に関しては、親が子供の結婚相手を決めることは珍しいことではない。ところが、ドイツの基本法では親が子供の結婚について決定権を持つことは許されない。そのため、トルコ系移民の親が、祖国の親戚と自分の娘の結婚を決めてしまい、それに同意しない娘がドイツの裁判で親と争うというケースもある。」

この記事は、文化の問題が法律問題と絡んでくると非常に複雑な問題となることを示唆しています。

グローバル社会では「多様性」を認めようという考え方が一般的になっていきます。

しかし、国境というものを意識する中でお互いを認め合うということがグローバル社会であって、法律というきっちりしたルールの下で運営される一つの国の中で一つの国民として機能する社会とでは、問題のレベルが全く異なるのだということです。

これらについては、もともと移民が作った国であるアメリカにおいては、当然今までも経験してきているはずで、また解決してきたように見える問題ではあるのですが、トランプ大統領の登場で、この問題が実は未解決の問題として再認識されてきたような気がします。

そうなると、この移民問題にほとんど免疫のない日本社会は、よほどの覚悟をもってこの問題に取り組まなければ、解決されないことは確かです。

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