代表ブログ

2035 10年後のニッポン

2023年7月16日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

4月にホリエモンこと堀江貴文氏の著書「信用2.0」についての記事を書いたばかりですが、また新しい本が出ましたのでご紹介します。

タイトルは「2035 10年後のニッポン」で副タイトルが「ホリエモンの未来予測大全」となっています。

以前に、唯一人口動態を前提とした「予想」は例外としても、経済学者が主張する経済の「未来予測」のほとんどは当たることがないと言われているという話をフランスの人口学者エマニュエル・トッド氏の著書を紹介する記事の中でしました。

それくらい未来予測が難しいということは理解しつつも、経済学者ではなく、かつて一世を風靡した実業家で今は最先端の世界経済ウォッチャーとして活躍するあのホリエモンによる10年という期間を限定した中での「予測」ということだったので、期待半分、ダメ元半分で読んでみることにしました。

しかもその予測は全58トピックにもわたっており、その意味ではお得感も満載でした。

そんな中で私が最も印象的だったトピックを一つご紹介します。

「残念だが、凶悪犯罪は増えるだろう」

このトピックのタイトルだけを見れば印象的でもなんでもなく誰もが当たり前のように予測できるように感じると思います。

ですが、私が印象的だと思ったのは、堀江氏が以下のような「現状」を踏まえたうえでこのような予測をしているところです。

「『最近は物騒になった』『昔はもっと安全だった』と嘆く人がいる。しかし、殺人や窃盗、詐欺などの犯罪件数自体は2002年をピークに一貫して減少している。その背景には日本の生活が豊かになったことがある。賃金が上がりづらいなどの課題もあるが、日本では手ごろな値段でおいしい食事や娯楽にありつける。例えば、吉野家の牛丼、ユーチューブやスマホゲームなど無料で楽しめるコンテンツなどだ。今日本人は所得こそ少ないものの、やりくり次第でいくらでも豊かに生きていけるのだ。犯罪件数の減少はそうした事情に支えられている。」

う~ん。確かにその通りですよね。

車や教育など高額商品サービスの値段などはどんどん高くなっていますが、生活を人並みにするための最低限のコストは今は昔と比べて圧倒的に安くなっているのは事実です。

また、堀江氏は指摘していませんが、街中に監視カメラが設置されたことで、警察の捜査が楽になっていたり、そもそもそれによる抑止効果が高まっていることも理由のひとつだと思います。

ところが、堀江氏の予測によると以下のような理由で、今後は「凶悪犯罪」の数は増えていくだろうということです。

「人口が減っていき、国内経済のパイが縮小していく。しかも島国ゆえの移民に対する抵抗感もあって、人口減対策は遅々として進んでいない。日本の基幹産業である自動車メーカーもEV化の波に乗り遅れたことで将来的には経済状況の悪化に伴い日本社会は閉塞するだろう。つまり孤独感や絶望感にむしばまれる人が増える。仕事、家族、社会的な信用、財産など失うものがない人ほど犯罪に走りやすい。そして『誰でもいいから殺したかった』『どうせ死ぬなら誰かを道連れにしたかった』といった身勝手な動機を口にする。繰り返しになるが、日本では給料が低くても楽しめることはたくさんある。心も腹もそれなりに満たされる。さらに困窮した際には生活保護制度が支えてくれる。しかし、社会や人生に絶望した人間が引き起こす凶悪犯罪は増えていくだろう。(一部加筆修正)」

印象的だったのは、知識としては多くの人が知っているであろう「『最近は物騒になった』『昔はもっと安全だった』と嘆く人が多い中でも実際の犯罪件数自体は一貫して減少している。」という事実が、「凶悪犯罪」に限定して今後は多くの人が持つ「最近は物騒になった」「昔はもっと安全だった」という現在の間違ったイメージに近づいていくという点です。

つまり、「ああ、やっぱり」という正直な感想によるところが大きいということです。

そのために我々が目指す社会は、格差拡大の中でも最低限の生活に満足できる「足るを知る」社会なのか、それとも格差を是正するリカレント学習に励む意識を多くの人が持つ「意識高い系」社会なのか、評価の分かれるところではあると思います。