日本人と英語

必ずしも「動名詞は現在・過去」「不定詞は未来」とは限らない

2022年11月11日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「ヘミングウェイで学ぶ英文法」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマは「動名詞と不定詞の名詞的用法」です。

動名詞と不定詞の名詞的用法は、当然ですがどちらも動詞を名詞化するという役割を果たしています。

しかしながら、どちらも「名詞化」ということであっても、全く同一の機能を果たしているかと言えばそれは違います。

かなりしっかり学習されている方でも、この記事のタイトルのごとく、「動名詞は現在・過去」「不定詞は未来」という縛りでの「名詞化」という理解にとどまるのではないでしょうか。

例えば、enjoy(楽しむ)という動作はこれからやることはどうやっても楽しめないわけですから、その目的語として現在やっていることもしくは過去にやったことしかとることができませんので、「I enjoy(ed) playing tennis.」のようにOとして動名詞しかとることができず、一方で、plan(計画する)という動作は、今やっていることや過去やったことを計画などできないわけですから、その目的語として未来にやることしかとることができないため、「I plan to play tennis.」のように不定詞しかとることができないという感じです。

ところが、本書には「そうともいいきれない」という別角度からの説明がなされていましたので以下に該当部分を引用します。

「まるで都市伝説のように『不定詞は未来を表し、動名詞は過去(もしくは現在)を表す』と語り継がれておりますが、それほどまでに単純ではありません。

(1)To see is to believe.(2)Seeing is believing.

これらは直訳すればどちらも『見ることは信じることだ』となりますが、意訳すれば(1)は『見ればわかります』となり、(2)は『百聞は一見に如かず』となります。つまり、不定詞は『個別的・即時的・積極的』、動名詞は『一般的・消極的』な意味が備わっていると言えるでしょう。もちろん、不定詞が未来志向だと考えても良いものもありますが、以下の例はどうでしょうか?

I like reading books but I do not like to read a book now.

動名詞は「一般論」的な意味があるので『読書が好き』となり、不定詞は特定の「個別」的な事柄に言及して『今は本を読みたくない』となります。」

つまり、「動名詞は現在・過去」「不定詞は未来」という基準と「動名詞は一般性・消極的」「不定詞は個別的・即時的・積極的」という基準のダブルスタンダードが存在していると理解するべきということでしょう。

確かに単純ではありませんが、非常に納得感が高い説明でした。

 

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