日本人と英語

「語法」とは何か

2022年9月15日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「日本人の9割が知らない英語の常識181」からテーマをいただいて書いてきましたが、第十回目の今回が最終回です。

最終回のテーマは「語法」です。

私の主宰する「文法講座」の正式な名称は「『全項目を網羅した英文法』を血肉化する合宿」ですがかつては「中学校3年分の英文法を2泊3日で血肉化する合宿」と呼んでいました。

そのため、この講座を「基礎的な文法」を学ぶものだと勘違いされる方もいらっしゃったのですが、当時から「中学校3年分の英文法」はほぼ完璧な文法であって、「高校で習う文法など存在しない(仮定法と過去完了以外)」と力説してきました。

では高校では何をやるのかということになりますが、それは「長文」などに取り組みながらほとんど「語法」を学ぶことになります。

以前にもこの「語法」についてはこのブログでも取り上げましたが、ここで改めて簡単な定義を抑えておきましょう。

「文法」は「文章を作る上のルール。」です。

それに対して「語法」は「言語の表現や理解を支える慣用的ルール。また、語の結合やはたらきに見られるルール。」です。

つまり、文章を作る上のルールである「文法」に則って作られた文章でも、実社会において「そうは言わない」ものはたくさんあるわけで、一般的には「このようにしか言わない」という慣習的に固定された文のルールを「語法」というということになります。

本書にはこの「語法」に関わる日本語と英語の不一致の事例がたくさん掲載されていますので以下、印象的なものをいくつかご紹介して全10回のシリーズを終わりにします。

 

①「彼のリアクションには笑った」→His response made me laugh.

「reaction」は「反射的な反応」で化学反応や拒否反応の意味で使われ、日本語の「リアクション」は明らかに「response」つまり「答えとしての言動」や「対応の様子」の意味で使われている。

②「パイが好き、特にアップルパイが」→I love pie, especially apple pie.

「especially」は同種の中で一つだけを強調して「特に」と言いたいときに使う一方、「specially」は目的や用途に応じて「特に」と言いたいとき、例えば、I made it specially for you.というような場合に使う。

 ③「旅行はどうだったの?」→How was your trip?

一般的には「travel」は動詞、「trip」は名詞として使う。日常生活で「trip」を動詞で使うときは「旅行する」ではなく「つまずく」として使う。

④「うちは5人家族です」→There are 5 people in my family.

「person」の複数形としては「persons」と「people」の二つがあるが、日常会話では「people」を使うのが一般的。

⑤「喜んでやらせていただきます」→I would be happy(glad) to do that.

「be willing to」を「喜んで~する」と覚えている日本人は多いが、これは結構致命的な間違いで、実際には「~してあげてもかまわない(やぶさかではない)」というニュアンス。能動的積極性を表明したいときには、「be happy to」もしくは「be glad to」を使う。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆