日本人と英語

the Asahi と a Sony

2023年4月5日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英文法の謎を解く(続・完結を含む三部作)」からテーマをいただいて書きたいと思いますが、第一回目のテーマは「固有名詞につく前置詞the と a」です。

一般的に「固有名詞には冠詞はつかない」と習います。

しかし、今回のタイトルの中にあるように「the Asahi」や「a Sony」のように前置詞が付くようなものを目にすることがあります。

私が個人的に印象に残っているのは、かつての「ソニー」のコマーシャルの最後に流れていた「It’s a Sony.」というサウンドロゴです。

本書にはこの固有名詞に付く二つの前置詞「the と a」について非常に分かりやすい解説がありましたので以下それぞれ引用します。

まずは、「the Asahi」について。

「基本的には固有名詞であるAsahiにthe をつけてはいけないのは、例えば山口という人名にthe Yamaguchiなどとthe をつけてはいけないのと同じことである。日本ではtheを書物のタイトルや商品名やロゴなどにめちゃくちゃにつけて、少しも恥じない人が山ほどいる。論外であり、aとtheをなめてはいけないのである。ではなぜ、つけてはいけないAsahiにthe が付くのか。それは、このtheが、そのあとにくるShinbun(新聞)を修飾しているからなのである。このtheはAsahiにかかっているのではない。その後ろのShinbunにかかっているのである。これを普通の英文法書では朝日新聞社は『唯一』だからとか説明しているが間違いである。(確かに、それならすべての固有名詞に着けろよって話になりますね。)ちなみに、The Yamaguchisというのはある。これは『山口家の人々』という使い方であって、The Adams(アダムズファミリー)というのと同じである。アダムではなくアダムズだ。(一部加筆修正)」

そういえば、テムズ川を「The Thames」というようにTheが付くのも「river」が省略されていると考えれば合点がいきますね。

続いて、「a Sony」について。

「このa Sonyのaは何なのか。Sonyという会社の名前である固有名詞にaがついていいのだろうか。固有名詞にaをつけてはいけない。例えば、あなたの名前にaを付けていいわけがない。このIt’s a Sony.は『ホラ、ここ。この僕らの目の前にあるこのビデオはソニー製(ソニーの製品)なんだよ』これがIt’s a Sony.なのだ。このaは実は、one of ~という意味を表して、ここではone of Sony’s products『たくさんあるソニー製品のうちのひとつ』という意味なのである。」

これなどは、世界中にたくさんの製品を供給している「世界のソニーだぞ」との自負の意識がその背後に見え隠れしていて、日本企業が世界で敵なしだった80年代から90年代を思い出し複雑な気分になりました。

 

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