日本人と英語

天候や時間の「it」は実在する

2023年4月9日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「文法の謎を解く(続・完結を含む三部作)」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは「天候や時間のit」です。

この「it」という語は代名詞のほかに二つの特別な用法があります。

一つは「形式主語(仮主語)」と呼ばれ、不定詞や名詞節を主語に持ってきたときに、それが長くなってしまった場合に、主語にitを置くことで文章のバランスを整える目的で使われるものです。

EX) It is important that students study in school.

もう一つは「特別用法のit」と呼ばれ、「時間」、「天候」、「明暗」、「距離」など表すために主語にitを置くものです。

EX) It is fine today.

「形式主語」については、上記の説明の中にもその目的が書かれていますが、「特別用法のit」に関してはそれがそこに置かれる理由・目的などその本質を理解するために必要な理屈が書かれたものをいままで目にしたことがなく、勝手に「形式主語」と同じように文章を整えるために適当に置かれているものだと思っていました。

ところが本書は、実はそうではないとはっきり断言しつつ、かなりその本質に迫る内容が書かれていましたので以下引用します。

「このitのことを『天気のit』などと分類してすましているのが日本英語学であり、このitのことを『天候を表す決まり文句』だと考えている。そうではない!it『それ』は実在する。fine(素晴らしい)天候が存在する外の明るいほうを指さして、it『それ』がそこに実在している。これが It is fine.なのだと。だから、it『それ』というのは指さされ、言われたそのままに『そこに』実在しなければならないのである。ここが分からないと、日本人はitなるものが分からないのだ。このitは実は=the weatherということなのである。そして、weatherにはたいていtheが付くことになっているが、ここにtheがあることから分かる通り、『特定のthe』だからこのweatherは特定されて『今、私たちの目の前にある、この天候』のことなのだ。これが時間だったら、目の前の時計の文字盤がさすその『午前9:40』のことである。(一部加筆修正)」

なるほど。

本書には書かれていませんが、「明暗」も「距離」もこれら二つほど分かりやすくはありませんが、まさに具体的にイメージしているその「その部屋の暗さ」「その距離の長さ」そのもののことであることでしょう。

それらは確かに「実在」するということが良くわかりました。

 

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