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アフリカの先住民は黒人だけではない

2021年9月5日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前ご紹介した人類の至宝と呼ばれる「銃・病原菌・鉄」よりテーマをいただいて書いていますが、第七回目のテーマは「アフリカ大陸の先住民」についてです。

私はアフリカ大陸はいわゆる「黒人」のみが「先住民」であった大陸だと思い込んできました。そして著者によれば、多くの西洋人も私と同じような認識だということのようです。

しかし、私は「サピエンス全史」を読んで、700万年前に人類の祖先が誕生し、また私たちホモ・サピエンスが誕生したのもアフリカ大陸だという事実を知りました。

であるならば、その大陸でたった一つの人種のみが先住民として存在するのは不自然であり、その時点で、その認識は誤ったものだと認識するべきだったのですが、残念ながら本書で指摘されるまでそのことに気づきませんでした。

本書では、ほんの数千年前まで世界の主要な6人種のうち5つの人種が生活していて、現在でも白人、黒人、アジア人(混血)そしてアフリカ固有の狩猟採集民族(ピグミー族やコイサン族)が生活していることが明らかにされています。

ちなみに、このコイサン族についてはかつて「コイサンマン」という映画を取り上げて記事にしていましたのでご参照ください。

ただ、実際にはその中で黒人の存在感が圧倒的であることも事実で、そのことが私たちがアフリカ大陸を黒人のものだと思い込む原因になっていると思われます。

現在のアフリカ大陸で黒人が圧倒的でない部分は、エジプト、リビア、モロッコなど白人がマジョリティを占める地中海付近の北アフリカとインドネシア人と黒人の混血の人々がマジョリティを占める大陸の東側に浮かぶマダガスカル島のみです。

ちなみに、アフリカ大陸から400キロ程度離れたマダガスカル島に黒人が渡ることはそこまで驚くべきことではありませんが、インドネシア人が紀元前350年の時点で広いインド洋をカヌーで超えてきた可能性があるということは本当に驚くべきことです。

ではなぜ、現在のサハラ砂漠以南、すなわちアフリカ大陸の大部分において、黒人のプレゼンスが圧倒的になったのでしょう。

この原因について書かれている部分を以下に引用します。

「白人(北アフリカの白人ではなくヨーロッパからの)が入植する前のアフリカ大陸(サハラ以南)には黒人だけが暮らしていたわけではない。ではなぜ現在では黒人だけが広く分布するようになったのか。黒人の多くは農耕を営んでいたり、牧畜を営んでいたり、またその両方を営んで暮らしていた。一方で、ピグミー族やコイサン族は狩猟採集民であり、作物や家畜を持っていない。彼らの皮膚は黄褐色で外見上黒人とかなり異なる。ピグミー族は小さな集団を形成し、中央アフリカの熱帯雨林に広く分散して狩猟採集生活を行っていた。コイサン族はアフリカ大陸南部一帯に広く分布して暮らしていた。しかし、このように多様性を持った人種構成を持っていたアフリカ大陸においても、農耕民が狩猟採集民を駆逐するという世界中で繰り広げられてきた歴史の型が成立することとなった。現在わずかにピグミー族やコイサン族が生き延びているのは、彼らが南下してきた黒人の人々の農耕に不適な土地に孤立して生活していたという幸運があったからに過ぎない。」

そのようにして広範囲に広がった黒人の人々もその後、苦難の道を歩むこととなった事実を考えると、なんとも人類の歴史は複雑なものだと思わざるを得ません。