迷える英語好きたちへ #245
2020年11月5日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 迷える英語好きたちへ
【著者】 鳥飼玖美子 斎藤兆史
【出版社】 インターナショナル新書
【価格】 ¥840 + 税
【購入】 こちら
#244でご紹介した「理想のリスニング」の著者である東京大学の阿部教授もそうですが、本書の共著者である立教大学の鳥飼名誉教授と東京大学の斎藤教授のお二人も大学入試共通試験への英語の民間試験導入をギリギリのところで延期させることに成功した立役者です。
しかしながら、どうもすっきりしないのは、英語の民間試験導入は「延期」であって「中止」ではなく、未だ教育行政としては実施に向けて検討を続けているということです。
ですから、今回の鳥飼・斎藤両教授による本書の出版は英語の民間試験導入の批判の手を緩めるわけにはいかないという強い意志の表れでもあるように思います。
本書におけるお二人の考え方は以下のような趣旨で一致されているように思いました。
それは、日本語と英語がそれぞれ全く異なった言語だという前提に立って、それぞれの言語の存在をもっと尊重するべきだという考えです。
お二人は、今の教育行政の英語教育に関する姿勢には、日本語には日本語の、そして英語には英語の「生態系」というものがあるにもかかわらず、まるでそれぞれの生態系の違いをごちゃまぜにしてしまうような本質的な「英語教育」の劣化が明らかに見て取れると言います。
本書のような「まとも」な英語教育論を継続的に世の中に出すことによって、一人でも多くの日本人に英語教育に関する「頓珍漢」な議論を冷静に受け流すことができるようになってほしいと強く願っています。